宇 治 、 紅 葉
2006年12月 5日(火)  晴れ
宇治は特に紅葉名所ということではないけれど、京の外れの広くゆったりしたところで好きな場所です。
この橋は京阪宇治駅からすぐの宇治橋。真ん中あたりにちょっと出っ張ったところを作ってあり、橋の守り神、橋姫を祀っていた「三の間」だったとか。太閤秀吉がここから茶の湯を汲ませたという話が残っているそうです。
何度も流されては架け替えられたけれど、瀬田の唐橋と並んで日本で最も古い橋のひとつだそうです。橋の上から眺める上流のほうの山がきれいに紅葉していました。逆光でうまく撮れませんでしたが。

平等院鳳凰堂

宇治といえば、10円硬貨裏の絵柄で有名な平等院鳳凰堂。阿弥陀仏を祀っていることで阿弥陀堂というのが正式名称だけれど、950年前に建立されてから大分経って、江戸時代に、翼を広げ鳳凰に似た姿ということから“鳳凰堂”と呼ばれるようになったとか。
こういう説明は、最初の入山料とは別に拝観料を払って、20分に1回の入れ替え制で、お堂の中で受けました。いつ来ても池の発掘とか修復とかで完全な姿を見るのは久しぶりでしたが、入れるところが限られてしまって、自由に歩きまわっていたころが懐かしくなりました。20歳くらいの若者ふたりが、しきりに、「すごいなぁ。」「千年も前にこんなのが建ったのか。」「千年そのまんまかぁ。」何度も繰り返して感嘆していました。 もう千年後にも残っていて、こういう声が聞かれたらうれしいですね。石じゃない木の文化遺産は、残すのが大変です。
お堂の中は修復済みの阿弥陀仏本体だけになり、がらんどうで、方形と円形の二重天蓋とか、背後の光背など、現在修理中。新しく建っている博物館(宝物館)で一部間近に見ることができました。
お堂両横の白壁に52体の雲中供養菩薩像が架かっているうち、半分ほどが今回博物館のほうに展示されていて、これはうれしかった。穏やかな表情。伸びやかな動き。自由な雲の形。とても美しい。これも950年間、色こそあせたけれど、そのままの姿が残っています。
博物館2階に全雲中供養菩薩像の写真集が売られていて、買いたくなりましたが、ぐぐっと抑えました。きっとそんなに見返さない。本は増やさないぞぉ。見たくなったらまた来ればいいのだから。
この扉かどうか分かりませんが、つい数年前、隠れていた扉絵が色鮮やかなまま現れてニュースになっていましたね。きれいな色がこんなにそのまま残っていたなんて信じられないほどです。
平等院について詳しくはこちら(公式ホームページ)からどうぞ。


中 の 島

喜撰橋を通って中の島に渡る お茶を飲みながら向かいの東岸を望む
平等院南口から出て、公園になっている中の島へ移りました。大きな石の十三重の塔が目立つ中の島にほとんど人がいなくて、大きな床机という感じの椅子に腰掛けて、家から持ってきた今川焼きをほうばり熱いほうじ茶を飲んでお昼ごはんとしました。
後でうどんでもと考えたのですが、そういう店のあるところは、平等院のある西岸沿いに多く、帰るまで空腹を抱えることになりました。
上流3キロのところに天ケ瀬ダムがある 朝霧橋を渡って東岸へ


興 聖 寺

道元禅師を開祖とする曹洞宗のお寺。長い参道には琴坂という風流な名前がつけられ、紅葉のころが一番きれいだそうです。
外の門 琴坂の先に見える山門
通ってきた琴坂を振り返る
山門を入って中からもう一度振り返る

禅宗のお寺というのはどこか異国風。白壁の丸い台の上に門の建物。丸みのない庭に石庭。門に『道場』とあったから、修行僧が多いのだろうか。
向かって右に石庭
本堂に向かって左に面白い石塔
扉の裾に獅子の浮き彫り

宇治上神社

あんな小さい古い神社が世界遺産?とニュースで聞いた当時は驚いたものです。私の中では、狭くて塀もないようなぼろっちい神社の印象しかなかったのです。今度行ってみて、考え違いがよく分かりました。創建は古く、平等院ができたときにその鎮守社となり、人々から敬われ今日まで大切に守られてきたのだそうです。古い建物がその時代の建築様式そのままに残っていて、そんなに小さくない。1000年以上もの間、日本最古の神社として受け継がれてきた文化遺産なのでした。
大きな鳥居   新しいのでは? 桐原水(宇治七名水のひとつ)
拝殿、前方から見たところ、奥の本殿が透けて見える 拝殿、後方から見たところ
人間が拝む場所は住居の形式、寝殿造りの建物になっている、鎌倉初期のこの様式は以後引き継がれていく
覆屋に覆われた内殿三社、格子を透かして中が見える
上は斜め格子、下は普通の格子、反りの大きい屋根が美しい
写真をクリックすると、説明板の拡大図が出ます

源氏物語ミュージアム

宇治へは何度も来ているけれど、以前のように近くの黄檗山万福寺までまわる体力はなく、食わず嫌いで行ったことがない“源氏物語ミュージアム”へ寄ってみました。
朝霧橋のたもとに源氏物語‘宇治十帖’にちなんだ
モニュメントがありました
全面ガラスの明るい建物です

建物は明るいけれど、中の展示物は窓ひとつない展示室にありました。豪華絢爛、牛車、御簾、衣装が飾られ、光源氏の住まいといわれる六條院が、四季別に同じような模型が四つ作られ、熟年女性10人ほどのグループが、先生と呼ばれる人を中心に、あそこがあれでここがそれで、と楽しそうに語り合っていました。ぽつぽつと絵巻の場面に現代語訳の源氏物語がのぞける仕掛けがあったり、篠田正浩監督‘浮舟’ゆかりの人形劇映画も上映されて、 好きな人にはたまらないのでしょう。


建物のまわりにぐるっとムラサキシキブを植えてあるのはご愛嬌ということで・・・

<2006年12月5日>