海岸散歩・日本海
山口・青海島、北九州・門司港散歩

聞いたこともなく、読み方も分からなかった青海島(おうみじま)に誘われて出かけました。今なら、金子みすずに関係のあるところを歩き回ったでしょうが、当時はみすずの詩を知るちょっと前で、海上アルプスと言われる荒海にそそり立つ岩を眺めに行きました。
仙崎でバスを降りて島に渡り、と言っても船に乗ったわけではなく、橋を渡って、湖のように見える湾を見ながら、強い風に前かがみになって歩きました。 誘ってくれた友人が、いつも乗り物から降りてすぐに歩き出すのが苦手で、いつもは山で登りになるから心臓に悪いのかと思っていましたが、そういうことではないようでした。しばらく一緒にベンチにいましたが、もう少し休んだら大丈夫。後で追いかけるからと言うので、私ひとりツアーのみんなの後を追いました。友達甲斐のない人間です。

夏みかんの原樹が今も普通の民家の庭にあるのにびっくりしたり、世界で初めての日曜学校が開かれていたというお寺の横を通ったりして、丘に登ったあたりで、タクシーに乗って現れた友人と合流。強風と雨に打たれながら海岸を散策しました。
お天気がよければもっといい印象になったのでしょうが、寒いし冷たいし、他の海と違いがあるような気もしなくて、早々にバスに戻りました。

門司港に着く頃には雨も上って、その頃売り出しの‘レトロな街並み’散策。古い建物や街並みには興味があるほうだけど、何故かそれほど強く印象に残らず、ぼーと歩いて終わりました。左の写真は、昔、門司港駅にあって、現在のところに移したという、九州の列車はここから始まりますの意味、≪ゼロ 哩≫の標識が面白い。

金子みすずの詩を知り、曇天の仙崎や青海島の海を思い出して、彼女の詩と生き方を思います。場所よりも時代の方が、生き方に大きな影響を与えたと思うけれど、詩を生み出す心はここで育まれたのでしょう。もう一度行ってみたい場所です。

<1995年3月>