京 の 冬 の 旅
2008年3月2日(日) 晴れ
昨年の今頃はせっせと大和路散歩に精出して、この冬は京都を楽しもうと考えていた。京の雪景色というものはなかなか絵になるので、昔はわざわざ寒い日に出掛けたりしたこともあったが、今の足では危なくてとてもだめ。2日続きの晴れで暖かく、気持ちの準備ができてから2ヶ月たって、ようやく出掛けた。
普段非公開の文化財を冬季限定で特別公開してくれる寺を、いつものようにタクシーで、足の続く限りと4ヶ寺まわった。


東 寺

新幹線で京都駅に近づくと目の前に大きな五重塔が見えてくる。いかにも京都らしいこの風景。いつも見ていると京都はこんなものとそれほど感動することもないが、これは日本で一番背の高い東寺の五重塔。高さは55メートルあるそうだ。

南大門から入った “冬の旅”にあわせて、21日でなくても弘法市を
開いているようだ、後ろは金堂(国宝)

東寺は毎月21日の縁日“弘法さん”で有名で、庶民的な印象が強いが、当初は平安遷都に伴って都に創建された官寺だった。完成前に嵯峨天皇より空海に下賜され、真言密教専修の寺となったとされる。五重塔と金堂など5つの建物が国宝。鎮座する仏像や空海による書状、曼荼羅など国宝や重文を沢山持つ大寺院である。

南大門入ってすぐに見える五重塔 灌頂院東門

塀の外から見た感じでは、五重塔は南大門から入ってすぐの場所にあるように見えた。ところが、所狭しと並んだ出店の影にずっと金網がまわしてあって、五重塔の方へ行けない。出店の間をうろうろしているうちにもうひとつ特別公開される灌頂院に行き着いた。
この灌頂院というのは、見た目が地味で境内でも隅の方にあるけれど、東寺にとって大変重要なお堂であるらしい。1年に7日間だけ1月8日から14日まで、真ん中に両界曼荼羅図を掛け、まわりの板壁に真言八祖像が描かれたところで、明治以前は宮中で行われたという、後七日御修法という密教儀礼がおこなわれる。それと同じしつらえを見せてもらったようだ。

灌頂院の北に建つ本坊の塀に
菊の紋が透かし彫りで入った勅使門
勅使門の前に広げられた古着屋

実はここまで書いたようなことは今回の特別公開で行ってみるまで知らなかった。立派な外観は見慣れているけれど、古い寺院の歴史ある塔で中を見せてもらえるところはあまりないのではないかと、単純に、正月の三が日だけ公開されるという五重塔の内部に興味津々だった。
五重塔へは結局ぐるっと境内全体をまわったところに受付があり、そこからまた大分戻る感じでやっと入れた。
公開されたのは初層内部。心柱を大日如来に見立てて、まわりに金ぴかの他の如来像、菩薩像などが並び、柱や天井、壁などに花を図案化した極彩色の模様とか曼荼羅が描かれ、その色鮮やかなことに驚いた。
この五重塔は9世紀後半に完成した後、4度の火災による焼失と6度の地震雷の被害を受けていて、現在の塔は17世紀半ばに完成したのだとか。
仏塔というのは、仏舎利に同じ、仏陀のお骨を収める場所ということで、真ん中の心柱の底に仏舎利を収めているというのは、奈良の古寺を見て歩いたときに知った。今回須弥壇の一部を開けて、心柱の基部を見せてもらった。見えない基部にも色を使って絵が描かれていた。
右は、五重塔の外に立てかけられていた案内板。クリックすると拡大図が出ます。


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