紅葉の東北、八幡平から八甲田山へ

3日目 02年10月11日(金)

蔦沼、早朝散策

蔦温泉のあたりも火山帯ですから、昔の噴火で流れが堰き止められてできた沼が多く、早朝、希望者だけ林と沼めぐりに出かけました。

ひとり部屋では朝起きるのに神経を使いますから、最近は目覚し時計持参です。前夜ちゃんと時刻を合わせ、アラームセットして備えました。起きて準備ができ、余裕でお茶まで飲んで、10分前に玄関へ行ってみると、しーんとしています。私が一番?そこの柱時計を見たら、約束の6時より1分過ぎています!うっそーーー目覚まし時計が遅れていたんだ!あせりました。表に飛び出てみましたが誰もいません。また宿へ入って、窓を磨いていた人に蔦沼めぐりの入り口を尋ね、1時間の散策だから多分追いつけるけれど、コースがいくつもあれば会えない可能性もあるし、そのときは25分進んでひき返そうと決めました。

あせってはいましたが早朝の林の中は気持ちがいい。小鳥の声は聞こえませんが、真っ赤に紅葉した山に囲まれた沼が静かに横たわり、秘境の朝の気配をただよわせています。歩き始めて10分でみんなに会えました。最初が蔦沼。つづいて鏡沼、月沼……この旅ではじめてやっと気持ちのいい歩きの機会がめぐってきました。夏が終わって冬が来るまでの短い東北の錦繍の秋。といってもどこでも最盛期とはいきません。早過ぎたり遅過ぎたり。でもそれが自然でそれもいい。



八甲田山への道

昨日は八幡平アスピーテライン。今日は八甲田ゴールドラインを通って、関西では見られない雄大な景色を楽しみました。アスピーテというのは火山用語で、盾のような形の平たい火口丘のことを言うそうです。
睡蓮沼越しに八甲田山小岳を望む 睡蓮沼沼畔からの眺め
睡蓮沼を背にしての眺め 酸ヶ湯温泉近く、車窓から
酸ヶ湯温泉付近を走るバス車窓から 城ヶ倉大橋からのぞき見た深い渓谷
いずれ劣らぬすばらしい紅葉の眺め。 昨日の雨が悔しいけれど、今日も降ったかもしれないことを思えば、贅沢は言えません。3日間ずっと雨だった組もあるそうです。



八甲田山中腹、かる〜いハイキング

さぁいよいよ最後のお楽しみ、八甲田山中腹の散策。ロープウェイ山頂駅が田茂萢(たもやち)岳で、そこから八甲田山を縦走して大岳から酸ヶ湯までも歩けるそうですが、私たちは軽く周回する遊歩道のコースを1時間ばかり歩くだけ。
今日は空もきれいに晴れ上がって、八甲田の山並みがよく見えます。目の前に広がる湿原は毛無岱(けなしたい)。足元からそこへまっすぐに下りる道が見えます。いい天気だよ。すぐそこに見えるよ。歩きたい。

その後、ロープウェイを下りてお昼を食べてから、東八甲田、田代平(たしろたい)湿原を歩きました。一面の草紅葉とまわりの紅葉した林。すぐそこの感じで八甲田の山々が見えます。

湿原はどこも同じように見えます。秋になれば草紅葉。まわりの林と不思議な色の池塘。
八甲田の山並みが見えて、ここは田代平湿原と気がつきます。

八甲田山といえば、明治35年青森第5連隊の雪中行軍遭難事件、新田次郎の“八甲田山・死の彷徨”を思い浮かべますが、読んだことがありません。
行く前に一度読んでおきたかったけれど、最近集中力が続かなくてだめ。
展望台に立つ大きな像は凍死寸前仮死状態のまま佇立していた後藤伍長がモデルだとか。
210名中199名凍死。その壮絶さは想像を絶します。後藤伍長を含めて生存者のほとんどが手足を切断せざるを得なかったそうです。その地に行って景色を見れば、実際にあった話というのは胸を打ちます。
最近でも登山者や自衛隊員の遭難がありましたね。それは有毒ガスによる事故だったか。活火山地帯だから、低地窪地にガスがたまるし、厳寒積雪地だから吹雪になれば遭難もあるでしょうし。
雄大で美しい景色というのはここに限らず危険と背中合わせということなのでしょう。


最後に、青森空港へ行く途中、萱野(かやの)高原というところに寄りました。昔は萱で埋め尽くされた高原だったのでしょうが、今は広々とした公園になっています。いよいよ帰るというときにこんないい天気。仕方ないね。ずっと雨よりどんなにいいか。
八甲田山関連写真がどこかへ消えてしまいましたが、冊子にプリントしたのがひょっこり出てきたので、スキャンして取り込んでみました。



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