大和路散歩・東大寺秘仏
2010年4月8日(木) 晴れ
平城遷都1300年祭、祈りの回廊企画にのって、第3弾。東大寺関連の秘仏開帳に合わせて行ってきた。桜は満開。人は多かったけれど、秘仏も桜もよかった。ちょうど山は新緑、萌黄色。命の洗濯になったよ。

五 劫 院

東大寺の北方、末寺だという五劫院。とてもユニークな秘仏、五劫思惟阿弥陀仏坐像(重文)。それほど大きくないが、仏像には珍しく両手が衣の中。そして、その頭部がかぶさるくらいに大きい頭髪に覆われている。人智に計り難いほどの長い時間と難行を表すためにくるくる巻いて積み重なった姿だという。ちなみに、落語「寿限無」の‘五劫の擦り切れ’のいいまわしのもとの言葉らしい。




鎌倉期に東大寺再興に力を尽くした重源上人開山の寺だそうだ。その重源上人坐像が東大寺俊乗堂に秘蔵されているのを、五劫院の開帳とそろって同時期一般公開している。
本堂前の色鮮やかな椿の花は1本の幹からいろいろの色合いの花が咲き出しているようだ。これは白毫寺にあった五色椿と同じだろうか。

本堂 外の地蔵、左の朝日地蔵は心持ち左向きのお顔で
見返り地蔵ともよばれるそうだ



俊 乗 堂

大仏殿横の猫段を少し上ったところの小高い場所に俊乗堂はある。初めてここへ上がってきたときには、いかにも大仏のおわします東大寺の鐘とばかりにでっかい鐘と鐘楼に驚いた。まわりは、俊乗堂、行基堂など東大寺に縁の深い僧侶の名のついたお堂と、比較的新しい建物か、朱色鮮やかな念仏堂などがある。
俊乗堂、南に向いた表側 俊乗堂、東側の特別公開入り口
行基堂、色のさめた古びた小さいお堂 念仏堂

著名な高僧の肖像彫刻はいくつか見せていただいたことがある。唐招提寺の鑑真和上座像。白毫寺の興正菩薩叡尊坐像、他は思い出せないが、今日の重源上人坐像。いずれも老年期の高僧らしい威厳のある姿。びっくりなのが、その写実性。写真がないのでそっくりかどうかは分からないけど、眼光の鋭さ。しわの一つ一つ。生きて語り掛けそうな真実らしさ。彫刻ってすごいなぁと思う。
他にも仏像が祀られているなかで、こぶりの阿弥陀如来立像のお顔が整った美男顔で、知らないおばちゃん同士、きれいな仏さまねぇとささやきあい、参拝も長めになる。

ちょっと上から見た大仏殿 大きい鐘楼



三月堂と二月堂
俊乗堂からもう少し上がると三月堂(法華堂)

二月堂石灯籠と鹿

二月堂

三月堂はまもなく内部の須弥壇と仏像本体の修理にかかり、拝観はできるけれど今までのように国宝と重文の仏像16体を一堂に見ることはできず、3年経って修理後にも元通りには安置されないと知ると、大好きだったここの仏像たちにお別れしておかなくちゃと特別公開というのではないが、ゆっくり拝観させてもらった。
二月堂の長い石段を上る元気はないし、今回、桜に囲まれて美しい外観を眺めただけ。それにしてもここまで来たのだったら、非公開で前回あきらめたすぐ近くの開山堂、三名椿のひとつ糊こぼし椿(良弁椿)がまだ咲いていて塀の上から見られたかもしれないのに、思い出さずにさっさと下りてしまったのが後で悔やまれて悔やまれて・・・・・・



大 湯 屋

俊乗堂まで下りて、もうひとつ石段を下りると大湯屋


上2枚、右側遠くに見えるのは若草山頂上、桜が見える、真ん中三角屋根は二月堂



講 堂 跡

大仏殿裏の広々した空き地に見える講堂跡。何でも大きい東大寺。講堂もどんなに大きかったか。礎石の大きさ、場所の広さから、とんでもなく大きい建物だったと推察できる。今では、あまり人も来ない、桜がぽつぽつ咲いて、鹿が草を食む静かな場所。




正 倉 院
2年前には全体を撮れなかったが、今使っているカメラではほぼ入る、
左を欠けさせたり、レンズをこんなに汚していてはいけない・・・よね

南 大 門
この南大門から中門あたりはいつもすごい混雑、東大寺の顔だね

他にも、久しぶりに戒壇院に行って、今は戒壇に使っていないらしい壇の上にのっている多宝塔や四隅の四天王像を再見したいと思ったけれど、どうにも足が痛いし、胃の具合もおかしい。南大門前からタクシーに乗って帰った。
今日も快晴のもと、好きなところを見て歩いたんだけど、くたびれてしまった。仕方ない。5月には春日大社に来る予定だから、元気だったら足を伸ばしてみよう。