トルコ 正味 2日半


≪イスタンブール≫  4日目  10月 9日(火) 晴れ

頑張って無理してもらわなくてよかったのに、今日の韓国行き航空券が取れて、しかも直行便でなくなった分、韓国から関空までの全日空分の代金は自費になり、帰ることになりました。来るときの逆、カイセリ−−イスタンブールを飛行機で。窓の外は、一木一草見えない赤茶けた山岳地帯。雨が少ないのか、人間が植物を取り尽くしたのか。
本来なら南にどんどんバスで走るはずだったのに・・・あっという間にイスタンブールに着いてしまいました。
帰国便搭乗ぎりぎりまでの4時間を何とかできるだけイスタンブール観光にと、Ziyaさんの骨折りで、駆け足だけれど見て回りました。



≪ブルーモスク≫  ---オスマントルコの17世紀に建設---



向かい合って偉容を誇るアヤソフィアもそうだけれど、外観はそんなに色彩も装飾もなく、むしろ地味な印象。
ここは、見学順序に従わず、出口から入れてもらいました。Ziyaさんが、いつも首から提げたガイドの免許証のようなカードを示して、私たちの困った状況を話して交渉してくれたのでしょう。全部はまわれないけれど、ここだけは是非見て欲しいといって広い部屋に入りました。


窓のステンドグラス。壁、柱は精巧なブルーのタイルで飾られ、とても美しい!壮麗で優美な大モスク。建設当時近くのタイル産地で盛んに作られたこのみごとなブルーが後に廃れて、今は壊れて修復しようにも色の技術が継承されていなくて、そのままにしておかざるをえないそうです。
天井高い大ドーム、まわりを囲む小ドーム 天井まで何層にもステンドグラスの窓
ひとり1枚あたりの同柄絨毯がびっしり敷き詰められ、外のずらっと並んだ水道蛇口で、石の腰掛に腰かけて足を洗っている男性がいました。手や口を清めるのは日本の神社でもありますが、足までとは徹底しています。
ここは是非ゆっくりしたかったぁ。




≪アヤ ソフィア≫ ---ビザンチン時代4世紀に建設---




ビザンチン時代の4世紀に建てられてから火事などで3度建て直されたキリスト教の大聖堂アヤ ソフィアは、15世紀オスマントルコにモスクに改修されていたのが、共和国初代大統領アタチュルクによって、塗りこめられた漆喰の下からみごとな聖母子像などのモザイク画が蘇り、博物館として公開されたそうです。
床も壁も大理石でできています。建てられた時代も目的も違うからでしょう、一時期同じモスクであったといっても、向かいに立つブルーモスクとは外観以上に内部が違って、驚きでした。
建て直す前の建物跡を一部発掘した場所がありました。ただ、それ以上は今の建物に影響があって続けられないそうです。



≪オリエント急行終着駅≫ レストランで昼食
ユーゴスラビアなどの内戦で、もうここトルコまで来なくなってしまったオリエント急行。終着のイスタンブール、シルケシ駅駅舎は今はレストランになって、観光客の食事場所になっています。

古い大モスクの外観の地味さに比べて、何式というのか装飾的な建物が、内部は無愛想な教室風。唯一丸窓のステンドグラスだけが、華やかな印象。
食事をしているうしろのプラットホームには、テーブルと椅子がカフェテラス風に置かれ、列車が止まっているのが見えます。なかなか凝った演出だと思っていたら、なんと手前の電車が動き出しました!あわてて飛び出しカメラを向けました。

まだ現役の駅をレストランに? ここは国際都市イスタンブールの歴史ある駅。こんなことあるの?
この後、あちこちにこういう駅のレストランがあると知りましたが、初めての経験で驚きました。




≪グランドバザール≫
最後はグランドバザール。イスタンブール、オリエント急行、それに迷路のようなグランドバザールとくれば、これはもうスパイ映画の定番。アルジェリアやモロッコを舞台にした映画とごっちゃになって、怖い、暗い、危ないとどきどきするかと思ったら、現実は、精巧な高級金製品を並べる、明るいきれいな店が何十軒も並ぶ商店街でした。グランドバザール門前の商店街も、日本でなら何百万何千万もしそうな絨毯を飾った店が並び、私とは縁のない超高級品の世界。自分の無知が恥ずかしい。


≪トプカプ宮殿≫   ---休館日で門の外だけ見学---


手前真ん中の建物は泉だそうで、宮殿入り口は左奥

トルコの人は、器用で技術が確かで、親日的で、とても親近感が持てます。国土は赤茶けた荒地が多いように見えて気の毒だけれど、有史以前からの何層もの遺跡あり、カッパドキアのような自然と人間の歴史が織りなす魅力たっぷりの見どころあり、たった2日半で帰るのはまことに残念……と・て・も・残念。

夕方、1週間も早く、帰国の飛行機に乗りました。また来るねぇと飛行場でぐるっとひとまわりしてまわりの人や見えるものすべてにご挨拶。もちろん心の中で・・・。

ところが私たちよりももっと気の毒かもしれないご夫婦が、帰りの道中一緒になりました。奥さんが片足を伸ばしたまま車椅子。同じ旅行社で数週間前にトルコに来て、観光1日目のカッパドキアで転んで足を骨折。入院治療でずっと病院暮らし。どこも見ないで今回帰国になったのだそうです。

海外で怪我して入院治療なんて、どんなに心細いでしょう。それでもご夫婦なら付き添ってもらえます。私はいつもひとり参加で、言葉ができない、付き添いがいない、大変だ。気をつけていても怪我や病気をすることはあるでしょう。簡単に海外旅行に出られるようになったけれど、都会よりも自然いっぱいのところに行きたがるのだから、何か起こったときの大変さは、肝に銘じて、相当の覚悟が必要だと思い知らされました。単に保険が効くとかそういう問題ではないということですね。



5日目 10月10日(水) 帰宅

家に帰ると、行く前に「行くの?うそだろっ!」と言ったつれあいが、こらえきれない笑いをそれでも必死で抑えているらしい様子で、「おかえり〜」と迎えてくれました。
「いいも〜ん、楽しかったも〜ん。」 これも心の中です。くやしい〜。