大 和 路 散 歩

法 隆 寺 ・ 伽 藍 周 辺
法隆寺中門、外から


2008年4月9日(水) 晴れ <斑鳩散歩つづき>
また来てしまった。昨年くたびれて見残したところがあったし、今、玉虫厨子の複製と平成版玉虫厨子の一般公開とともに、夢殿でいつもは秘仏として厨子の奥にしまわれている救世観音像の特別公開があるというので、歩ける間に1度拝ませていただこうとやってきた。
昨年くたびれ果ててどうにも動けなくなったのは、境内がとても広く見学するところが沢山で、痛い足をかばいながら歩くのがつらかったこともあるが、途中でお腹がすいても境内に休憩所は3ヶ所あっても、食事を摂れるところがなくて、お茶とあめだけでは体力の限界がきてしまったのだ。
今回は、だから、法隆寺に入る前に、門前の食堂で天ぷらそばを食し、満を持しての参詣。それでもすぐにくたびれてしまったのがこのところの体力のなさで、悔しいが仕方ない。


南 大 門
南大門の前で修学旅行生の集団が説明を受けている この石のこと
南大門の正面足元に、敷石が一つ敷かれていて鯛石と呼ばれているそうだ。魚というより牛のように見えたが、この石には伝説があって、昔、法隆寺の南を流れる大和川が氾濫し、南大門までついた水が引いた後、残された魚がその石になったというのと、もうひとつ、魚がこの石のところまで泳いできたが、法隆寺には水が入らなかったということを示しているというのと。



法隆寺には子院塔頭が多く、国の重要文化財も数多いが、非公開のため、せめて門の上の鬼瓦でもと、逆光をものともせず?撮ってみた。
左のウサギが飛び跳ねているのがかわいい    <地蔵院の鬼瓦>                 右は唐獅子らしい
<宝珠院の鬼瓦> 左右に違いはないようだ



伏 蔵

南大門を入った後、左に折れると、西大門が見える。前回この道を歩かなかったので気がつかなかった。道の途中、なにやら柵で囲まれている。
ここは“伏蔵(ふくぞう)”という地下宝物庫だという。法隆寺には伏蔵が3つあって、金堂、大経蔵は昔からその所在が分っていたが、この大湯屋の表門前の伏蔵は昭和58年に判明したそうだ。地表から10cmのところに直径2.2メートルの石蓋が埋まっていて、その下に財宝があると言われているそうだ。仏法が滅びた時に開き、その財宝を使うようにとか、法隆寺が破損した場合にその財宝で再建できるようにと聖徳太子が作ったものだとか。
驚いたことにどこにどんな宝物が収められているかの伝承があるらしい。



西 円 堂

境内の北西の隅にあっても国宝の建物、西円堂。前回、この石段を見てこれは無理と上がるのを諦めた。
改めて見てもそれほどすごい高さに見えない
疲れてしまうというのは怖いことで
西円堂
奈良か平安初期に建てられたのが大風で倒れ、
鎌倉期に再建されたのが今に残っているとか
石段をエンヤラ上っていると、各段の隅に隠れるようにスミレが咲いている
ほんの少しの砂と石粒しかないのに、風の当たらない日当たりのいいところが好きなんだね
お堂をぐるっと回っていると横の鐘楼に立っていたお坊さんが
突然鐘を突いた、ゴ〜〜〜ン、余韻が長い
余韻が消えそうになった頃またゴ〜〜〜ン
1時間毎に時の数だけ打つそうで、6回まで聞いて下りたから、
その時12時で、12回突いたかどうか分らない
西円堂前から下を見る
斑鳩の里が見えている
昔の人もここからこうして
里の景色を眺めたのだろう




西 茶 所 の あ た り

各休憩所のあたりにはトイレがあって、世界中から観光客が来るだけあって、ちゃんと洋式トイレがあるが、数は多くない。昨年女性の多い外国人観光グループは和式のトイレが全部空いているけど、4つの洋式トイレの前で列を作っていた。
誰もが知っている子規の句“柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺”の句碑が立っている。子規自らの文字を碑にしてあるそうだ。実際に柿を食べたのは興福寺のそばの宿だったという説もあるが、ここは法隆寺であって欲しいところ。
そばに珍しい姿の手水のつぼがあり、熱心に外国女性が写真を撮っていた。龍の形はよく見るけれど、これは面白い。

近くの聖霊院も三経院も、昨年来たときには3月の聖徳太子の命日に当たる日が近く、赤黄緑などの色鮮やかな幕を垂らしていたが、今回は何もなくて修学旅行生以外はあまり人もいなくて静か。



大宝蔵殿と大宝蔵院
大宝蔵殿入り口 入り口を入ったところにあるパネル展示
今年いっぱい金堂の須弥壇修理のため、中の国宝、四天王像のうち2体、持国天像と増長天像。他にも、飛鳥・白鳳時代の至宝や玉虫厨子複製と平成の玉虫厨子などを特別展示している。
複製といえばいわば偽物。だけど、技術を残そうという熱心な職人さんが昔のように作ったというこれは、すごい作品で、この新しいのを見ると、もうほとんど分らないと思っていた本物の国宝の玉虫厨子の模様が見えてくる。
本物の方は、百済観音像を収めるために造ったという大宝蔵院のほうにあって、同時に見るとよく分って面白い。
よく似た建物の名前だから間違いのないように
並べて案内、それでもきっと間違う人がいるでしょう
大宝蔵院の真ん中の建物
百済観音像が収蔵展示されている
馬屋 内部は太子像と黒駒像、ちょっとこわいかも

大宝蔵殿と大宝蔵院のたくさんの展示物を見てくたびれて、しばらくお茶を飲んで休憩。11時過ぎに食べた天ぷらそばの効力はそろそろ切れたらしい。もう帰ろうと立ち上がったのだが・・・
<西院伽藍へつづく