大 和 路 散 歩
奈良公園、興福寺

2007年1月19日(金) 晴れ のち 曇り
興福寺、右から、土塀は南大門跡のある場所、五重塔、東金堂、国宝館、
左手前の礎石壇は、中金堂再建予定の回廊部分らしい


近鉄奈良駅は大きなビルの地下。写真の右側のビル。階段を上がって外へ出ると、以前はなかったモニュメント?が。行基像。横に立っている若い托鉢のお坊さんと、奈良らしい風景かも。

すぐ前には近くの観光場所の距離標識。この広場の左側から細い東向(ひがしむこう)商店街がのびて、広い三条通りに突き当たって左に進み少し上ると奈良公園。今日は、商店街途中から左折して坂を上りました。

今までは、京都も奈良も山のほうばかり歩いて、街にはめったに行きません。京都は1200年間、天皇と公家が日常を暮らす都だった正真正銘の大都会で、“京散歩”ということばにどこかみやびで華やかな香りがあるのに対して、“大和路散歩”は都だった時期が京都より古い分、なんにでも“いにしえの・・・”とつけたくなるひなびた香りがあります。 大昔都だった時代の権力者たちが建てた豪壮な大寺院大伽藍が街にもはずれにも、そこかしこにあって、国宝だらけ。 ゆっくり見てまわったら寺院ひとつでも1日ではまわれません。仏像に魅せられるようになったのはいつ頃からだったか。 よし、この冬は、大和路散歩といこう。手近なところから、奈良公園へ。

数回は訪れた奈良公園。いずれも興福寺は通り過ぎるだけでした。寺社拝観も歩けなくなってからはむずかしい。これからは機会があれば、内部もちゃんと見せていただこう。何も予習せずに行ったから、どこに拝観できるお宝があるのやら分かりません。境内のあちこちで修復作業中。前でしきりに写真を撮っていた男性が五重塔と並んだ東金堂に入っていくのが見えたので、ここは入れるのかとついていくと、ちゃんと受付がありました。

立派な仏像が広い金堂いっぱいにあって、ほとんど国宝。何度も火災に遭い、明治維新時の廃仏毀釈で徹底的に破壊されたらしいけれど、まだまだ残っているのも多く、説明を読まなくても、ただ古いだけではない芸術性の高さが分かります。躍動感あふれる十二神将立像。怒りの形相も見事な四天王立像。動と静というのか、人間味あふれ、眉間のしわ、こめかみの血管まで表現されていながら、全体として安定して美しく見える老人の姿、維摩居士(ゆいまこじ)坐像。 対するふっくら若々しく知性と品格の文殊菩薩坐像。
仏陀はわが姿を偶像にしてはならないと言ったそうな。仏像は仏陀を表すものばかりじゃないけれど、涅槃像なんかはそのものですね。偶像を拝んではならないというのは、キリスト教もそうだけど、人間は弱いから、形あるものを拝みたくなるのでしょう。芸術としての仏像たちは、ほんとうにすばらしい。
大満足で東金堂を出たら、受付に飾られている“阿修羅”の写真に目がとまりました。特別展でもあれば拝観できるのかと、いつ見られますかと聞くと、「横の国宝館でいつでもどうぞ。」横はバスの駐車場になっていてその奥にそんな建物があることは分かりませんでした。
中学の教科書で見て以来の大ファン“阿修羅”。興福寺にあったのか。喜んで入館しました。
普段は公開していないらしい南円堂(右上の写真)、北円堂(左上の写真)に安置されているものなどもあり、目の保養になりました。内部の写真はどこも禁止ですから、大感動の仏像たちの写真はありません。

興福寺について詳しくは、
こちら(公式ホームページ)からどうぞ。



奈良国立博物館

昔、何度か来たことがある国立博物館。正倉院展だったような・・・25年以上来ないうちに立派な別館ができていました。そこは “おん祭と春日信仰の美術”なる特別展をやっていました。若草山の山焼きや東大寺2月堂のお水取りほど有名じゃないらしく、あまりマスコミの話題になりませんから、まったく知りませんでした。春日大社も興福寺同様古い神社ですから、祭りの衣装や道具類は古式ゆかしい雅楽の装束という感じ。昔ながらの祭りを執り行うということは、祭りの精神がそのまま生きているということで、何代何十代続いてきたのか、人間の情熱を馬鹿にしてはいけませんね。偉いなすごいなと感嘆するばかりです。
本館は常設館ということでしたが、博物館所蔵の仏像や、他の寺院の仏像もたくさんあって、特別に借用展示していると断っているのもありましたが、他のは、何かを修復修繕中に一部を借りているということでしょうか。ほとんどが仏像で、分かりやすく分類、同じような系統のものが同じ部屋に並んでいて、何も知らないながら、見て楽しめるように展示されていました。
それでも、よほど好きでないと、これだけの数の仏像を全部詳しく説明を読んで見るというのは大変です。私は疲れました。今日は、東大寺まで行く予定でしたが、博物館内本館と別館を歩くだけで疲れたし、時間も遅くなったので、東大寺は次回にしました。

奈良公園といえば鹿ですね。神鹿といわれ、天然記念物に指定され、愛護会が角切りをしたり、観光客が鹿せんべいを買って与えたり、人によく慣れています。だけど、昔、餌をねだられて頭突きされたこともあって、ちょっとこわい。冬は観光客も少ないせいか、それほどたくさんの鹿には会いませんでしたが、ときどき交通事故にあう鹿のニュースに接したりします。
             
         右写真をクリックすると、拡大画が出ます
上方の鹿の写真は、五重塔の写真を撮ろうとしゃがんだときに、餌をもらえると思ったのか、すぐ目の前にトコトコやってきた冬毛の鹿です。

次の奈良公園散歩で東大寺に行きましたが、東大寺にも関係があって、
テレビを見て面白いと思った1キロ南の仏教遺跡“頭塔”へ先に行きました。