4日目 10月1日(土) 曇り 後 雨

グリーンランド内陸部ラッセル氷河の上へ

グリーンランド1泊後の朝起きると、窓の外では、近くの建物の屋根の上で火を使って何か作業しています。早朝は大分寒いと思うけど、何をやっているのかなぁ。
食堂の横は飛行場の滑走路。窓から世界の各都市までの方向と飛行時間を示した標識が見えます。ロンドン3時間35分。ニューヨーク4時間。東京10時間5分。そうか、大西洋を中心にして考えたことがなかったけれど、西洋社会では世界は大西洋が中央にあって、大西洋の北にあるグリーンランドからはヨーロッパとアメリカはほぼ同じ距離にあるわけか。

今日は、グリーンランドの85%を占めるという氷河のほんの端っこを歩いてみるというツアーに出発。ここカンゲルルススアークは長いフィヨルドの奥にあって、以前米軍基地があったところ。今はその基地のあとを使って、飛行場はもちろん観光客用にホテルやレストランなどを営業。周りにそこで働く人達用の施設などがあるらしい。
ホテルを出るとすぐにオフロードの感じでしたが、1本だけ舗装されていない道路があって、フォルクスワーゲン社がテスト用に秘密裏に作った道路を5年で放棄したあとを使っているそうです。冬は寒すぎ、夏は氷河の溶け水で川の水位が3メートルも上って冠水。春と秋しか使えず、効率が悪すぎたそうです。
道路の横に墜落した飛行機の残骸が散らばっていました。これだけ壊れた機体を基地まで持ち帰る意味はなかったのでしょう。それにしてもそのまま道路横に放置して観光用においておくなんて!如何に何もない土地かということでしょう。
アイスランドは名前に比べて意外に緑が多かったのは、氷河は国土の15%とか。比べてグリーンランドは、最初に見つけたという殺人を犯してところ払いになった赤毛の何とかいう男が、きっと他の人をつれてくるのに希望をこめてこう呼んだのだろうな。グリーンランドとアイスランドは見た目はまったく逆で、最初の命名のまま何百年も変えない頑固さはやはりヴァイキングの誇りだろうか。
今は10月だからで、夏は花も咲くらしいしグリーンもあるのでしょう。一面きれいに紅葉している潅木(か?)が生えているところもありました。

私たちが乗ったバスは、添乗員さんがトラックバスと呼んだタイヤのごつい車高の高い人の乗るところが箱型になった車でした。覚悟していたよりは揺れなくて、外の景色の珍しさに興奮して酔うことはありませんでした。
1時間走っても人間の住んでいそうな建物などなく、1ヶ所だけトナカイ撃ちの人のキャンプ場というのがありましたが、当然トイレなどはなく、昼食場所にと止まった場所で、強風に驚いてみんな下りずに車の中でサンドイッチを食べたので、その間に、三々五々、少しはなれた石の陰や窪みですませました。 青空トイレといっていましたが、曇天で強風。ここの観光はこれからの時期は無理だろうなと感じました。
氷河がそろそろ見え出して、この池は薄い氷が張った程度に見えましたが、現地ガイドの大きな男性がどんどん池の上を歩き、石を投げても沈まず滑って止まりました。写真右に見えるのがその石です。

どんどん氷河が見えるようになってきました。名前はあるのでしょうが、きっとうんと大きな大氷原の一部なのでしょう。今まであちこちで氷河を見せてもらいましたが、こんなの初めてです。わくわくです。
氷河の手前にある砂の丘は、氷河が押してきて砂を持ち上げているのだそうで、アモロンと呼ばれるそうです。アルプスやカナディアンロッキーでは横の方に寄せられてモレーンと呼んでいましたが。きっととても大きくて川を進むのじゃなく氷原全体でまわりを押しているのでしょう。
先端はグレーに光り、奥はブルー、神秘的 大氷原が広がる感じがわかります
氷河から滴り落ちて川になる現場ですね ここでは川幅が少し広くなっています
今にも落ちそうだけど、砂の方が押し上げられています 目の前にあるのがラッセル氷河、今からこの上に進みます

遠くから眺めるのと違って、歩くとなると、表面には溶けた水がたまり、雪のすぐ下の氷は透明で固くすべりやすい。多分気温は氷点下何十度。強風に吹き飛ばされそう。ふたり一組で腕を組み、順番に前の人の後ろを進みます。こんなところで滑って転んで足をくじいたり折ったりしたら大変。きっとここには手当てのできる病院などなくて、東側海岸沿いの町まで行かなくちゃならないのでは。慎重に慎重に79歳の元気な女性と腕を組んで歩きました。
途中で雪というよりあられが降ってきて、出ているのは顔だけ。その顔に当たって痛い。歩いて写真を撮って、ほんの30分ほどのことだけど北極圏では秋でこれなのかと想像を絶するだろう冬の厳しさを思って身震いしました。
ラッセル氷河の上をちょっと進んで360度見回す
ガイドさんが削って溶け水に入れて氷河のオンザロック
まだまだ観光客が少ないんだ
すごいすごいとしか言いようがない氷河の様子

氷河が通って削られた岩 溶けたばかりの氷河の水が滝に


ホテル・レストランでの食事
ナプキンを毎回さりげなく色違いで形を変えて
これは写真写真と気がついたけど
いつもは、ははぁ、ふんふんだけですぐ忘れる
前菜、蝶の形?
左側はスモークド・ジャコウウシ
右はスモークド・カモシカ
どちらも柔らかくきついにおいもなくおいしい

メイン、マスのフライにえびソースかけ
えびをかたどっている?
さっぱり味で日本人の舌に合う
グリーンランド独自の調理法?ここだけの味付けか?
デンマーク流なのか?
デザート、アイスクリーム
何の形か分からなかったけどおしゃれ
カッコウだけじゃつまらないけれど
色合い・味・形とも心くばりがすばらしい
この日の夜は雨はなく、少し雲も晴れて、オーロラを見ることができました。ずっと気にして何度も外に出て確かめた人が、頼まれていた人を起こして、ドアがバタンバタンと閉められ、熟睡中の私も目覚め、おこぼれに預かれました。えーぇ、こんなの?と驚くほど地味なものでしたが、時間が早ければもっと色のついた流れるオーロラを見られたそうで、何の努力もしないでそりゃないぜと言うところでしょう。
夕べは雨の中傘さしてカッパ着て三脚つけたカメラを抱えて外に出ましたが、無駄骨。晴天でもきっと私のカメラでは写らない。今夜は見ただけで満足。だけど、カンゲルルススアークのこの時期の晴天率90%とか言ってなかったかなぁ。雨と曇りでしたよ。でも、グリーンランドでは大きな氷河の上までいけただけで大満足。オーロラは見えただけでラッキー。