10日目 3月18日(火)  うすぐもり
今も世界七不思議のひとつ、ナスカの地上絵

今日も朝一番、7:00出発。コンドル航空の小型飛行機でナスカの地上絵を見るためにイカという町まで行きます。12人乗りで、ちょうど私たち1グループでいっぱい。機上遊覧に適したように、翼が上についています。リマを飛び立ってからずっと太平洋岸に沿って飛びました。
リマの天気はいつもこんなものだそうです。フンボルト海流のせいだそうですが、理屈は分かりません。霧がかかったようにボーとしています。
帰国後、小ガラパゴスと呼ばれるアシカのコロニーで有名な小島の上を飛んだはずと知って、もっとしっかり読んだことを覚えておけばよかったと後悔することしきりでした。
海から離れると砂漠。といっても、普通砂漠と聞いたときに連想するものとはぜんぜん違う光景が広がっています。台形のような高台に筋のついた砂か岩かという感じでつづく白っぽい砂漠です。
中に1本、川を中心に広い耕地の緑の谷間が帯状に連なるのが見えました。点じゃない線のオアシスというところでしょうか。

約1時間でイカに着いたら、数人のグループに分かれて、もっと小さなセスナ機に乗り換えるということでしたが、リマから乗ったまま地上絵遊覧に入りました。小型機が旋回しながら飛ぶのだからと酔うのを覚悟していましたが、ベテラン機長さん、揺れもなく安定感ばっちり。自分のほうの窓からだけしっかり見て、反対側のほうは無理に見ようとしないこと。必ず旋回して右からも左からも見せてくれるから、と いう具志堅さんのアドバイスがよく、まったく酔わなくて、快適な遊覧飛行でした。

本やホームページでは、旋回してくれても、絵の方向が横や上からだと、分からないなんて書いてあって、いくつ分かるかと戦々恐々でしたが、ホントに上手に見せてくれるものだと感心。教えられた10個の絵は全部それと分かりました。意外にはっきりした線画でした。クジラ、宇宙飛行士、手、木、オーム、イヌ、サル、コンドル、クモ、ハチドリ。もちろん後世の人が形から類推してつけた名前で、他の謎とともに、真実は定説もなく謎のままだそうです。肉眼ではよく見えましたが、写真では残念ながら判然としません。何とか分かりそうなものだけを、少し画像処理して。実際はもっと白い砂漠です。
サル コンドル クモ
ハチドリ 木と手、その間に展望塔、観光バス

オーム
いろんな線は、いわゆる地上絵ばかりではありません。驚いたことに、ハイウェイまで真ん中を通っています。
そのハイウェイ横にバスを止めて下でも展望塔から見学しているようです。
どのように線が描かれているのか、どうして今も線が残っているのか、どんな目的でこんな空中からしか形が分からない大きな絵を描いたか、なにもかも不思議だらけです。

いろんな説があるらしいのですが、黒っぽい石や砂をのけて、白い地肌を出して線を出したというのが通説のようです。今も残っているのは、雨で流されることがないから。目的は、宇宙基地とか、地下の水路を示すとか、星座を表すカレンダーとか、今も定説はないそうです。

私たちはリマを一番に飛び立ってそのまま遊覧飛行になり、早くに終わったわけですが、このナスカの地上絵の遊覧飛行は、リマからはコンドル航空という1社だけで請け負ってやっているようで、客をリマから運んできて、遊覧させて、また夕方みんなをリマに送り届けるというシステムになっているようです。他にも日本人客の多いのには本当にびっくりしました。もちろん他の国のグループも、個人も。3〜4人ずつの少人数に分かれて、次々に飛び立っていきました。
他の人たちがみんな終わるまで待つことになり、みやげもの屋を冷やかしたり、ナスカの地上絵を解説しているビデオを見たり、裏で飼われているコンドルやリャマを見物、撮影したりして時間をつぶしました。
右のかわいい塔は、管制塔だそうです。ウッソーと叫びましたが、本当だそうで、信じられますか?

帰りの飛行中、ボーと外を眺めていると、目の前にスルスルと車輪が下りてきました。それほど小さくないこの飛行機が、上の翼から車輪を下ろすなんてびっくりしました。

夕方ホテルに帰ると、まず1番にシャワーを浴びたいのにお湯が出ません。仕方なく、食後にしようとひとり部屋の私はすぐに諦めましたが、明日も5時起きと早いのだから、みなさん困ったでしょう。結局、その晩はお風呂に入ろうかという時間にはお湯は出なくて、食事や地下での買い物をして部屋に帰ってみると、果物が3個、テーブルにのっています。真っ赤な布製ナプキンとナイフともう1枚のお皿を添えて。
ハハーン、お詫びのしるしか。おなかはいっぱいでしたが、とてもおいしそうに見えて、小さいマンゴのようなのと、小さいりんごを、荷造りしながら1時間かけて少しずつ食べました。そのせいかどうか、夜中からおなかの調子が悪くなって、胃腸の薬を飲みました。ちょうど間が悪かったということでしょう。

旅の真ん中。疲れも出てきているでしょうし、毎日のアルコール量も日本にいるときの比ではありません。最近生野菜や果物をあまり食べなくなっているのに、外国の果物をこんなに1度に生で食べてしまったのですから。

コカ茶がぶがぶ、トイレットペーパーご注意
コカ茶はどこでもいくらでも飲ましてもらえました。これはありがたいことでした。このコカ茶、いわゆるコカインのことのようです。土地の人はコカの葉をお茶のようにして飲むのだとか。利尿作用があって、高山病予防にもなるというから、温かいお茶はありがたいということもあって、ちょっと癖のある香りは気にせずに大いにがぶがぶ飲みました。
十分水分を取って新陳代謝を高めるのがいいらしいと、どんどん飲むとトイレが気になりますが、暑いし、乾燥しているし、それほど頻繁に通いたくなるわけでもありませんでした。

トイレといえば、南米は紙質が悪いから、使用後便器に捨ててはいけなかったようなのです。そういえば、空港、ホテルの部屋、レストラン、どこのトイレ個室にも、異常に大きいごみ箱がおいてあります。知らなかったからしばらくは便器に流していましたが、つまらせちゃったのではないかと心配。旅行前の説明会でも、添乗員、ガイドの注意にも、それはありませんでした。大事なことだのに、もしかして常識ということなのでしょうか。私以外にも知らない人がいて、いつまでも流している人もいました。