11日目 3月19日(水) 晴れのち時々雨
1泊分の着替えだけ持って、スーツケースはリマのホテルにおいて奥アマゾン、イキトスへ。5:00起き。7:00出発。8:15から約1時間半の飛行の後イキトスに到着。
バスから見る光景は、今までの景色とずいぶん違って、行ったことはないけれどテレビ等で見るアジアの光景。モトタクシーというバイクの後ろにふたり乗りの幌つきベンチを引っ張って、ぶんぶん走ります。それが半端じゃなくて、赤や青や黄色やカラフルなのが道いっぱいに走り回っています。
100年ほど前にゴムブームで繁栄したイキトスの町は、ブームが去った今も、驚いたことに人口35万人の大都会だそうです。
町の中の道路上の市に連れて行ってもらいました。これまたアジア的な雑多な賑わい。豊富な果物や野菜の色鮮やかさが強く印象に残ります。
鶏、牛、豚の肉、あるいは開きになったピラニアなどが強烈な熱帯の太陽の下に並べられ、亀の中身や手足がバラであるいは甲羅をはがされた生状態で売っているのには、ゲテモノ食い、面白がりの私もちょっとげんなりでした。
市のはずれの方では道路にじかに物を並べて売っていて、繁華な中のほうでは台にのせて売り手は椅子に座っています。
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木の実、薬草なども豊富で、薬問屋街といった感じで店が並ぶ一角がありました。
キニーネの原木?各種ハーブ的植物。生で茎つき。なかには天井から吊り下げられてらせん状にぶら下がった蛇。
これは生じゃありません。
どの店にも後ろの棚にはビン入りのなにやら興味ひかれる液体やら固形物入りやらがびっしり並んでいます。
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すごいなぁ。南米の治安の悪さについては散々脅されていましたから、おそるおそるという感じで雑踏の中をついて歩きましたが、とても面白い楽しい経験でした。

バスと、幌のついたモーターボートを乗りついで、アマゾンのジャングルの中のロッジへ。
ボートに乗って驚きました。幅4キロのアマゾン上流域。
幅4キロなんて!見なきゃ信じられません。この大河が奥アマゾン。
Saさんご夫妻は、お子さんたちのご心配に、奥アマゾン源流のせせらぎだから大丈夫と説明して来られたそうです。
帰国後写真を見ながら、ご自分たちも驚いたことを説明なさるのでしょう。
アマゾン河はこのあと4000キロを大西洋に流れ下ります。たった150メートルの標高差を。
そうなのか。太平洋側に4000キロの長さで連なるアンデスから流れ流れて高度差たった150メートルとは!流れないわけです。広がるわけです。すごい!
日本の川は全部渓流といわれるわけだと納得しました。

今夜の宿は欧米人向けの原始生活復元といった小じゃれた雰囲気。木造高床式個室を屋根つき高床廊下でつないだ庭を広く取った結構リゾート感覚あふれるロッジです。
勝手に決め付けちゃ悪いのですが、さすが欧米人向け?トイレは水洗です。川の流れの上に板を渡してポトンの水洗かと想像していましたが、立派な腰掛式ふた付陶器製水洗便器です。
流れる水が茶色いのは当然アマゾンの水だから。建物の横に大きなタンクが2基上がっていて、ハハーンこれかと納得。だけど食事用にはミネラルウォーターを使ってくれているでしょう。多分食器洗いも・・・信じたい・・・
夕べから調子の悪いおなかは、今日1日コカ茶とパンと梅干だけにして、今までが食べ過ぎ飲み過ぎ気味だったから、すこしはお腹がひっこんでいいかも。旅の半ば。お仲間にもそろそろ体調を崩してきている人がいるようです。長い旅では、人によって早い遅いがあっても、大なり小なり体調を崩しがちだと聞きましたが、今のところ旅が続けられないというほどのことではなく、やれやれです。
荷物を部屋に置いてから、ちょっとしらける原住民訪問でした。純粋血統が守られているヤグア族とか。広場で吹き矢の実演を見せてもらいました。Saさんご主人がなんと一発で的に命中。さっきの部落1番の名人というのは何だったのでしょう。
次はなんとも意気上がらないダンス。NiさんやSaさんがダンスに加わります。えらいなぁ、がんばるなぁ。きっといつも盛り上げ役なんだなぁ。どっと押し寄せる手作りおみやげ品を持った子どもとおばあさん(50ン歳とか)。おばあさんからピラニアの歯と木の実の首飾りを買いました。
首飾りと呼ぶにふさわしい原始性バッチリ。<みやげ物のページはこちら>子どもが私のリュックのゴリラをほしがるけれど、それはだめ。追いかけられましたが逃げました。
ボートから天然イグアナが土の上にいるのが見えて大喜びしたら、そこは私たちのロッジの敷地のなかでした。その後“おさるさんの果物”の木にのぼって、撮影のモデルをつとめてくれました。案外小さいからだながら、太くて長いしっぽ。背中のたてがみ?草色の体色に、恐竜時代生き残りの風格がありました。
雨の中、ピラニアつりに出ました。戦果はSaさんご主人が1匹。あと2匹ガイドさんと船頭さんが釣っただけ。えさの肉片を針の先につけて水におろし、竿の先を水でバシャバシャいわせて待つと、小さい魚がすぐにやってきてつんつんとあたりがくるのですが、竿を上げても空を切るだけ。食われてえさは細りますが、釣れません。
説明会での旅行社企画担当氏の弁。ピラニアの刺身、おしょうゆとわさびをどうぞ、はでたらめでした。夜のワニつりも。小さいおしょうゆを店のあちこちで探すあいだ十分楽しんだことだし、冗談で済むことですが・・・
ガイドさんは村の名士? ピラニアつりのあと、突然ある島に上って、村の見学をはじめました。学校はフジモリ氏が建てたそうです。小さな店のちまき風食べ物を勝手に開いて1口食べ、どんどん村を横切り、林の中を通って歩いていくと、私たちのロッジの裏に着いたのでした。
まっすぐに帰らずに、楽しませようとしてくれたのでしょう。雨で寒いし、村の人たちの方が、珍しそうにこちらを見るし、そのときは楽しめませんでした。でも、観光化されていない現地の人や村を見学するなんて、簡単にできることではないでしょうから、いい経験をさせてもらいました。
ジャングル歩きは昨年不評だったらしく、そのかわり、夜のジャングルに屋根のない舟を出し、灯りを消しエンジンも切ってそろそろ進みます。恐ろしいような声や物音は聞こえません。この静けさの中でひとりでいれば怖いでしょうが、みんな一緒じゃなんともありません。だけど、ここはアマゾン。ひとたび何かあれば、日本にいるように簡単に対処できるものでないことは分かります。といってもそれは頭の中のことで、現実感はありません。
夜は、部屋に2個のランプ。廊下にはろうそくが2メートルおきに並んでいます。ランプとろうそくという言葉から受けるロマンチックなものではありません。寒くて暗い。テントでキャンプの感じです。防虫対策には、日本から持ってきた蚊取り線香をおき、息子から借りた超音波防虫機を身に着けました。
雨着が要ると言われたのに、傘しか持たなかったから、ピラニアつりですっかりずぶ濡れになり、寒くてふるえました。アマゾンの茶色い冷水でシャワーする気にはなれず、肌にじかに山歩き用長袖ウールシャツを着て、その夜からずっと翌日夜までそれしか着るものがない状態で過ごしました。歯は貴重なミネラルウォーターで磨きましたが、顔も洗わず、身体中べたべたしたままベッドにころがりこみました。
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