17日目 3月25日(火) 晴れ (2) アンデス大草原、アルパカの群れ 複雑な思いを抱きながら車窓から眺めていると、高地になるにつれて、まわりの景色は見るからにアンデス中腹の大平原という感じの草原が延々と続くようになりました。小高い丘の向こうには、標高6000メートルを越えるという峰々の白い頂が見えてきました。申し訳ないけれど、やっぱりこの景色を見たかった。息が止まるような感動を覚えます。ふか〜くふか〜く深呼吸しました。 雪山の見えるすばらしい景色になった頃から、4000メートルあたりでしょうか、アルパカの放牧が見られるようになりました。アルパカはこの高度が生活圏なのだそうです。それじゃ、地球上でこのあたりにしか住めないわけです。緯度が高いと4000メートルでは草も生えません。 ウルバンバ川は、ここから延々と、マチュピチュ下を通って、5000キロ以上流れ下って大西洋にそそぎます。 真実、アマゾン川の最源流のひとつ。これは感動でした。
ラ・ラーヤという4335メートルの峠というのは、まわりを高い山に囲まれ、見た目にはその辺とそれほど高度が違うようには見えないところでした。プーノとクスコの文字が見えますが、他は分かりません。多分峠だと書いてあるのでしょう。無粋な看板の前で次々に記念撮影をしました。道端にどこの遺跡でも見かける民芸品を広げてたまに来る客を待っている人たちがいます。多少の雨くらいそのままです。 昼食は、草原にバスを乗り入れて、外でお弁当をという予定だったようですが、そのほうがそれはどんなに気持ちよかったか。だけど運悪く雨が落ちてきて、車内で食べることになりました。おにぎりの大きいのが3個。ふりかけをまわしてくださった方がいて、おいしかったから、私も梅干を回しました。毎朝必ず、おなかの調子が悪いときにも、おなかと気分を整えたありがたい食品です。40粒くらい持ってきてちょうどよかったようです。 アルパカは白ばかりとは限りません。茶色、ベージュ、黒などにまだらもいます。 さっきまで細くくねくねと曲がって後方に流れていたウルバンバ源流が消え、同じようなちょろちょろ小川が今度は行く手に向かって流れています。ラ・ラーヤ峠あたりで分水嶺を越えたのですね。 新たな流れはチチカカ湖に注ぐ川のひとつのようです。少し広くなった川辺で、バスの車体を洗っているのが見えました。どこか懐かしい光景です。
トイレでは、とてもユニークな男女別の表示をしたところがありました。白い壁に男女それぞれ用を足しているところを、実に具体的に格好だけでなく、液体の放物線まで描いた絵です。大笑いしましたが、カラフルで上手といえる絵で、なかなかの遊び心と言えるではありませんか。
道〜路は続く〜よ、ど〜こまでも〜♪ この辺は、パンアメリカンハイウェイの雰囲気そのものです。 プーノの手前の町フリアカに近づくと、アマゾンの町イキトスに似た喧騒に包まれています。同じような幌つきカラフル輪タクが走り回っていますが、イキトスと違って、運転者が後ろで、ここでは動力は人間。自転車をこいでいます。山高帽に背中の風呂敷、スカート重ね着のおばさんが、ほとんどひとりで歩いている姿を、よく見かけるようになりました。インディヘナの本場へ来たという感じがします。