南米21日間の旅
18日目 3月26日(水) 曇り 時々 雨
チチカカ湖に別れを告げ・・・
夜明けのチチカカ湖、ホテルの部屋から
プレインカの墓地遺跡 シユスタニ

リマに帰る前に、飛行場への途中、シユスタニ遺跡を見学。100メートルの高さ(つまり海抜3900メートル)の広い丘に、点々とインカ以前のお墓である円筒形の石積みが残っています。私たち以外、1組の西洋人グループが先を歩いているくらいで、降り出した雨のせいもあり、地の果てという印象のとても静かな遺跡です。
バスを降りて丘を上りはじめたときに見える墳墓
丘に上がって横から見ると・・・
さらに上がって上から見ると下の写真のように・・・
インカの遺跡のような、緻密に石を積み上げた円形墳墓ですが、高い場所にある巨石でできた立派なのは、身分の高い人用。低いところの丸い自然石を積んだのは、身分の低い人用だとか。


小さめの自然石を円形に並べて、東側にインカおなじみの3段の石段の上に、入り口として石のない箇所をつくってある祈りの場所跡もありました。丘を登りきったところからは、360度さえぎるもののない眺望が開けています。

目の前のウマーイユ湖の中央に、火山噴火のあとだという大きい台形の島が、なんとも不思議な静けさで横たわっていました。

直径3メートルくらいの今は土台しか残っていない円筒形の石組みの中から、黄色い花が咲き出しているのも、かつての墓地の丘にふさわしい風景に見えました。

石を運ぼうとしててこを使おうとした跡がありました。今までに見た石の出っぱりは、やはりてこのためと信じられます。

インカ以前はまっすぐの円筒ではなく、上にいくほど広がった形につくってあるそうです。
最下段に人ひとりがやっと通れる四角い穴が東向きに開けてあり、冬至になるときっちり中に光が届くようになっているそうです。
ミイラにせよ、お墓にせよ、命がよみがえるための仕掛けをいろいろ考えてあるのも、なぜこんな大きな円筒形なのかも、インカ・プレインカの人たちの宗教観、生命感を表すものとして興味深いものがあります。


バスの待つところまで下りてきたら、毛並みが良くて乱獲されたため、絶滅寸前というピクーニャをつれた親子に出会いました。ピクーニャは赤ちゃんなのか、小さくてとてもかわいい。

Noさんご夫妻とKiさんはバスに残って遺跡の丘に上らなかったそうです。
昨夜レストランでご主人が、お風呂に入ったら胸が苦しくなったから、ビールを飲んだらスーとしたとおっしゃっていましたが、聞けばその後本当に息苦しくなって、酸素吸入をされたそうです。あらまぁ、ここまで大丈夫だったから、トイレを借りた村の見張り台や、ウロス島のトトラの塔からも元気に手を振っておられたのですが。
甘かった、無茶をしたとご本人が一番思っておられるでしょう。それでも1度の吸入でよくなられて、見たところなんともなさそうに見えて、ほんとうによかった。

フリアカの飛行場でしばらく待って、というか、バスはいつものように物売りの人たちに囲まれ、見るとそばにみやげ物専用の建物らしいものがあるし、多分最後のショッピングタイム。バスの中で目と耳をふさいでいるよりはと、そこへ入ってみました。結局今までよりも大分高く値がつけられたリャマ製編みものポシェットと、アルパカ毛皮のパッチワーク風敷物を買って、飛行機に乗り込み無事にリマに到着。とうとう南米最後の夜になりました。

リマ、南米最後の夜

午後、おなじみのホテルに着き、真夜中、日付が変わって27日01:05リマ発のLANチリ航空でロスに飛ぶ前、夕食の時間までの数時間を、ここで過ごします。

高地ではお風呂に入らなかったし、シャワーを浴びないこともあったし、久しぶりにバスタブにたっぷりお湯を張り、最後の入浴剤“箱根の湯”を振り入れ、ゆったり湯船に身を沈め目をつぶりました。長い旅の疲れが抜けていくようです。
入浴後、ゴブラン織りのゆったり椅子にもたれて、窓の外の見慣れたリマの街が夕日に照らされて少しずつ色を替えていくのを眺めながら、今回の南米旅行のことを思い巡らし、感慨にひたって過ごしました。

夕食は、前回とは違う、賭博場もある日本料理の店、“Tosiro”で。刺身にてんぷら、日本の日本食に近い感じ。店主の紀郎さんは、南米で有名なすし職人で、南米の食材に着目して、今度そんな食材研究の本を出版されるとか。南米特有の食材を大皿に乗せて見せながら、ひとつひとつご自分の考えを説明してくれました。
南米最後の夜の食事として、いい雰囲気で楽しめました。

旅の途中で、米国のイラク攻撃が始まって、今までにも増して空港の検査が厳しくなったとか。真夜中の1時過ぎに出発の飛行機に搭乗というのに、9時には空港に着いて、いつものように、空港前に着いたところでバスの中で待ちます。私たちだけじゃなく、西洋人グループもバスのまま待っています。特に説明はありませんが、空港の中に入って雑踏の中で待つよりも、空港警備員の目が光ったところのほうが、安全ということでしょう。
一段と厳しくなった荷物検査では、ひとりひとりに質問が違い、私は、キャッシュをいくら持っているかと聞かれました。そんなの数えたことないよ。とっさに思い出したのが、靴の底に入れた20ドル紙幣5枚。そう言うと、厳しい表情の女性係官、足元を指し、呆れたような顔をして通してくれました。やれやれ。