ニュージーランド・ハイキング

4日目 2006年2月8日(水) 晴れ

マウント・クック、フッカー谷半日コースハイキング

起きたら窓の外は今日も快晴。信じられない。うれしい。
マウント・クックは今日もその厳しく優美な姿を見せてくれました。
ニュージーランドの本によく、アオラキ/マウント・クックと書かれています。マオリ語で、「雲を貫く」という意味だそうで、ニュージーランドで一番高いこの山(3754m)は、雨が多いここでは雲を貫いて頂を見せることが多いのでしょう。だけど、昨日も今日も、私たちは麓まですっきりその全体の雄姿を見せてもらっています。
今日もうれしいハイキング。マウント・クックの谷間を約7キロ、3時間かけて、ほとんど平らな道を歩きます。 ハーミテージのホテル前に集まったほかのハイキングの人たちと登山口まで相乗りバスで5分ほど。
120年前に建てられた初代ハーミテージのあった場所、今はキャンプ場になっているところでバスから降りました。

初代は洪水で流され、二代目は火事。現在のハーミテージは三代目。驚いたことに当時の建物を今のホテルの奥に移して現役として洗濯部屋とかで使っているそうです。実はそこを知らずにのぞいてしまいました。ガラスの多いホテル本体と違って古い木造の平屋がそれだったのか。
右写真は方向的には少し戻る感じで、右の山すそに写っていませんがハーミテージが建っていて、今歩いているところから前に開けているのはミューラー氷河が下ってU字谷ができたあと。
今日の日本人女性ガイドさんはよく私たちに質問されます。
その谷間の向こうを指差し、「あの湖の名前は?」 自信無げにぼそっと「昨日通ってきたプカキ湖。」
「マウントクックはどの山ですか?」えっ、いきなり何ということを。昨日から散々眺めて大感動しているみんなはあっけにとられて顔を見合わせたまま。こういうときに静かに間を持たせるのが苦手な人間が、つい指差します。また、ぼそっと「あれ。」私です。
ガイドさんがおっしゃるには、近くに見える山を指差す人や氷河がのっていない山を指差す人もいるそうで。ほんとかな。先ずはコミュニケーションとリラックス?
真んなか緑の、右側が少しへこんだ丘を覚えておいてと
ガイドさん、雪が積もると、白馬の鞍部に見えるそうで
ホワイト・ホース・ヒルという
真んなかの三角石碑は最初の遭難者の慰霊碑
国立公園になってからは、一切何も手を加えては
ならないということで石碑も何も建てられない

葉が棘状になったマタゴウリ(ワイルド・アイリッシュマン)は
テカポ湖のマウント・ジョンにもあった乾燥地の木
下のシダは多湿地の植物、両方が共存する面白い場所
背の高い花のあとのある草は、2年に1度花を咲かせる
人参の仲間とか、とてもそうは見えない
マオリの人は根を食べたそう
この辺にはディジーや他にも終わりかけの白い花などがありましたが、よく写真で見るマウント・クック・リリーや色鮮やかなルピナスはなく、少し寂しい散歩道。ニュージーランドに白い花が多いのは、蝶が少なく蛾の種類が多いから、夜飛ぶ蛾によく見えるように白い花が多いらしい。ほかの植物はこちら
ガイドさんが、植物に限らないけれど、いろんなことに詳しくて、とても面白く勉強になりました。マメ科のルピナスは外来種でとても繁殖力が強く、ニュージーランド固有種を駆逐しそうだというので、国立公園内では毎年何百万円もかけて取り除いているそうです。
目の前に見える氷河をいただいた峰々の案内板
案内板をクリックすると拡大図が別窓で開きます 見えてきた第1つり橋

風が非常に強くみんな帽子を抑えて渡る
横の柱には、20人までの注意書き
渡り終えてから振り返って

見るからに氷河湖の白濁色、ミューラー湖 ミューラー湖上方の土砂に見える部分は
ミューラー氷河の先端が隠れている
氷河が下るとき、まわりにモレーンを作るだけじゃなく
土砂の下にもぐりこむのでこの光景
向こうに少し青色の水も見える
質問好きのガイドさん、「あの氷河の厚さはどのくらいだと思いますか?」 確かに、質問されると、ぼーと見ていたものがはっきり見えて、考えた分数字も記憶に残ります。
慎み深いみなさんが何もおっしゃらない間、ガイドさんは待ちます。右上写真真ん中より左、山頂の水平部分、断面の見えている氷河を指しながら、「たとえば、何メートル?何十メートル?」 カナディアンロッキーで見えている感じより相当厚かったことを思い出して、30メートルかなと思いながら、ちょっと遠いから 「50メートル。」 と答えてみました。他には?に返事はなく、答えは100メートルだそうです。とてもそうは見えないです。質問作戦大成功。この数字、脳に叩き込まれました。
右の草の繁った高い堤は、300年前にできた古いモレーン
左の低い方は、150年前にできた新しいモレーン
ミューラー湖に合流したフッカー川横の
新旧ふたつのモレーンの間を歩く
先ほどの、ホワイト・ホース・ヒルの裏側
モレーンの一部と分かる、手前の川はフッカー川
後の何の変哲もない山がヒラリー卿が登山に目覚める
きっかけになった山だそうだ
この山に登る友人ふたりについて歩いて
その後登山家への道を進むことになったのだとか



フッカー川河原からこのあとしばらく姿が見えなくなるマウント・クックにお別れ
今までずっと姿を見せてくれてありがとう、アオラキ/マウント・クック
アオラキを聖地として認めて欲しいと運動していたマオリの人々の資金が底をついたとき、同じ少数民族として支援できるならと日本人が資金援助して、認められたのだとか。その人は大阪の山田さん。アイヌの血統だそうで、今もご健在とか、うれしい話ですね。

第2つり橋を渡り終えて、少しそのあたりをくるっとまわる木道を歩いて、今日のハイキングの終点です。写真はそのとき撮りました。やはりとても風が強くて、できればここでお昼にということだったようでしたが、休憩なしで戻りました。
第2つり橋に行き着く前の崖道の横(写真では、つり橋の向こう側、道が少し登っている少し先の方)に、サウス・アイランド・エーデルワイスが2輪咲いていました。感激!
2月はもうほとんどの花が終わっていて、次は花の11月か12月に来なくちゃと思ったばかりでした。うれしい!
木道をもっと進むとフッカー氷河の先端あたり、フッカー氷河湖に行けるようですが、私たちはここまで。
第1つり橋のところまで戻ってお弁当タイム
ガイドさんが奥のブッシュ前でお湯を沸かして
コーヒーと紅茶を入れてくれた、あたたかくておいしい
朝渡されたお弁当の紙袋の中身は
とても充実、野菜と肉をたっぷり挟んだサンドイッチ、
梨(隣の人はリンゴ)、ヨーグルト、ジュース、お菓子数種
ミューラー氷河のなだれが響く
実際に目にしただけでも3度
垂直に見える崖にくっついているのがふしぎなような
状態から、氷がなだれ落ちる
遠いけど、雪煙が上って、やっぱりすごい!



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