スイス・アルプス・ハイキング

2日目 7月11日(日) 晴れ 後 雨 後 くもり

お尻スキー、ファウルホルン

バッハアルプゼーへ
ホテル自室の窓から見えるゴンドラ(右写真中央)に乗って、フィルスト(2171m)へ。
憧れのスイス。天気は晴れ。どこまでもイメージどおりのスイスの景色。
ゴンドラが高度を上げると、グリンデルワルト(1050m)からは見えなかったアイガーが姿を現しました。 嬉しくて興奮して、まわりの迷惑考えず、そのまま声に出してしまったら、6人乗りゴンドラにたまたま乗り合わせた関東からの三人グループさんと意気投合。
旅行前に息子からくれぐれも気をつけるようにといわれた注意2カ条が早くも危ない。

  1. あわててもいい結果は絶対に得られない。何かあってもあわてない。落ち着いて。
  2. 親切にして下さるからといって同じ人や同じグループのところにばかりいって、ご迷惑にならないように。

忘れたわけではなかったけれど、その後、親切にお仲間に入れていただくことが多くて、旅の楽しさは何倍にもなりました。
お花畑は牧草地 ガスがかかって見えない
ヴェッターホルン(3701m)
ホテルのすぐ後ろに壁のように
立つメッテンベルク、左後方に
シュレックホルン(4078m)
アイガー(3970m)、
右奥はユングフラウ(4158m)
ゴンドラから降り立って、スイスの山も普通の土なんだと気がついて驚いたりした自分がおかしい。何を考えてたんでしょうね。スイスの山は全部岩と思って、お花畑も岩場だと思い込んでいたらしい。
 

フィルスト……バッハアルプゼー(2265m)
片道1時間、ほとんどアップダウンのない往復ハイキング。アルプスのお花畑は牧草地でした。牛、山羊、羊が食べない草の花が残るのだそうです。そっか、牧草地が高いところにあるから高山植物なんだ。アルプとはそもそも牧草地のことらしい。
可愛いきれいな花々に感激し、氷河をいただいた4000mの峰々に感動し、遠くで聞こえる轟音は氷河の解け落ちる音だと思って、それもアルプスだぁと感激していたら、後で、雷鳴だったと分かったのですが。


左写真の真ん中辺に小さい湖バッハアルプゼー。その奥にぽっちり小さく山頂が見えているのが、この後登るファウルホルン。
左側のガスのかかった黒っぽい山は手軽に登れていい山なんだけど、トイレがないからだめとガイドさん。
右の丘の上にゲムセン(カモシカ)、マーモットの姿を見つけて教えてくれます。
今回のガイドさんたちは、アルプスで活躍する日本人山岳ガイド。日本の免許と中にはスイスの免許を持つ人もいるそうです。
   
湖の土手の穴から出てきたマーモット


ファウルホルンへ登る
ファウルホルン(2681m)に登るのは希望者ということで、半分くらいの人が参加。雪渓を踏んで登る、思ったよりきつい山でした。頂上からはインターラーケン横のブリエンツ湖が黒部湖のような色と形で見え、すぐ横に、本に写真入りで載っていたジュラ紀の地層の褶曲がはっきり現れている山が見えて感激。これが見たかったのだぁ。

下りはお尻スキーで
だけど、あっという間に雲がかかって下界は見えなくなり、雨も降り出して、全員カッパを着てリュックにカバーもかぶせて、いざ下山と思ったら、ポリ袋がみんなに配られました。何と、それをお尻にしいて、標高差500メートル近くを雪渓を滑り降りるといいます。いくつかすべり継いだ雪渓の中には急なところや長いところもあって、ちょっと怖かったけれど、速い速い。50分かかって登った山から一気に下りてしまいました。子どもに返ったようで結構楽しかった。

その後ざんざん降りの雨と、ときどきの雷鳴の中、さっきのお尻スキーの後遺症か、しばらく忘れていた股関節痛が激しくなり、杖にすがって足を引きずって歩くことに。雨も好きだから、気持ちは大いに楽しみたいのだけれど、いかんせん、痛くて痛くて。
痛みをこらえるのに一生懸命で下ばかり見て歩いていたら道を間違え、ツアー仲間に大声で呼び戻してもらったとき、最短距離のどろんこ牧草地を横切り、踏んではいけないと思っても、他に足ののせ場もなく、可憐な花か牛糞かどちらかを踏みつけて転びそうになりながら走り、雨と涙でぐしゃぐしゃになってようやくフィルストにたどり着いたのでした。フィルストからはゴンドラで下りるだけ。



両替はできるだけ日本で
出発前の旅行社の説明で、日本で両替をする必要がないといわれて正直にその通りにしたら、困ったことが続く。夕べは深夜のホテル到着。今朝は早朝から山へ。
ファウルホルン山頂に山小屋があり、有料トイレがありました。山の下までパイプで流し下ろすとか。そりゃあ、有料でしょう。昨日今日の山岳リゾートじゃない一端を知りました。いや、そんなことより、初日のしょっぱなにトイレ代を人から借用することになるなんて。

添乗員さん、ガイドさん、みなさん、ホテルでの両替は高くつくから町の銀行でとおっしゃいます。日曜でも自動両替機が外にあるからそこで・・・と。
ホテルに帰ってシャワーを浴びてからでは出るのがいやになるから、部屋に入らず、カッパ着てリュックしょってそのまま銀行のあるグリンデルワルト駅前へ。
結果から言えば、やっぱりだめ。機械は動くけれど、両替すべき現金がなくなったそうで。とぼとぼホテルへ戻って、換算率の悪い両替をすることに。旅行社の言うままにしていたら、あたふたすることもあると、初旅で教えられました。



裸のときに、男が部屋に
シャワーを浴びようとしているとノックの音。ひとり部屋だから部屋中散らかして裸でうろうろ。開けないでの札をぶら下げてあっても、しばらく待ってと叫んでも、鍵を開けて入ってきました。2回も。それもどんどん入ってきました。息子にあわてるなと言われてもこれがあわてずにいられますか。
なかなかつかまらない添乗さんにやっと電話が通じて、必死で抗議。覚えているのは、ホテルのボーイの制服ではない、小柄で色黒、いわゆる白人ではない、ことくらい。
部屋まで様子を見に来てくれた添乗嬢のおっしゃるには、ヨーロッパは階級社会。ホテルの客は従業員を自分と同じようには見ない。裸でいても犬猫に見られたほどにも恥ずかしくないのだと。盗られたものがなければ、ホテルの従業員だから、心配要らないと。

女ひとりの部屋に入ってこられて、「階級社会だから」、「犬猫の目ほどにも気にしない」、ですか。 “階級社会” 、ことばや知識としては知っているつもりでも、こういうことだったなんて。男に部屋に入ってこられた衝撃を越えるほどのショックでした。
もちろん、そんなこと平気でいられるわけがありません。以後、部屋にドアチェーンがなければ(スイスではないことが多かった)、椅子とスーツケースでバリケード(写真)。これで夜もぐっすり。

ホテル自体は、外観は山小屋風で、部屋にも木が使ってあって、気持ちよく過ごせるホテルだったのですが・・・




ホテル・サンスター 《グリンデルワルト》
大きい山小屋風 狭すぎず広すぎず 入り口をスーツケースで
バリケード
シンプルあっさりベッド