スイス・アルプス・ハイキング

4日目 7月13日(火) 晴れ

五つ星ホテルは裏口地下から

大きいカール小さいカール
今日は移動日。よく晴れました。ツェルマットへ行く途中、カンデルシュテーク(1176m)からリフトに乗りました。ぐんぐん高度を上げて視界が広がると、奇怪な姿の山々が目に飛び込んできます。まるで氷河の歴史の教科書を見ているよう。目の前の裸山の大きいカール小さいカール、ついこの間氷河が削ったばかりのように見えます。すごいなぁ。

リフトの終点に着くと、 左右に今度は、アルプス成立時の地層の逆転や褶曲、断層をそのまま荒々しく見せて、どんなすごい力が加わってこんな様相にまでなるのか、これからも地中海から押してくる力と風化でまだまだ変わっていく地球の今を見ているのだとわくわくします。

今朝までいたオーバーラントは、アイガーやメンヒ、ユングフラウの高く険しい山が並んで壮観だったけれど、こういう奇岩に囲まれている方がアルプスにいるという実感が湧いて面白い。

エッシネン湖
30分ほど歩くと、ブリュームリスアルプホルン(3664m)の山懐に抱かれたエッシネン湖(1688m)が現れます。うんー、神秘的。少し暗い水の色。山の湖。スイスの高い山は北側から見ることが多く、日中は大抵逆光になります。ここに泊まれば夕方真っ赤に燃えるアルペングリューエンが見られる。大きな写真集で見開きに載っていたのがとても印象的でした。どうしても来てみたかったスイスの湖のひとつ。ぐるっと一周は無理だけど、静かな湖畔をゆっくり散策できました。


バスに乗ったまま列車へ

カンデルシュテークから先は車ごとのせて走る列車、カートレインで。
大きいバスの横に突き出したバックミラーがまた大きい。駅にはそのバックミラーを取り外す係りのおじさんがいて、バスに脚立を掛け、よいしょっと持ち上げはずします。運転手のおじさんはじっと見るだけ。


屋根がついた台車だけの列車が着いて車が次々下りてきたら、いよいよバスごと乗り込みます。狭い列車に両横5センチくらいの余裕しかなく、さすが〜と拍手してしまいました。あとは、トンネルの向こうの駅で列車から降りて、バスは一路ツェルマットのひとつ手前の駅、テッシュへ。



ツェルマットは電気自動車が走り回る町
ガソリン車乗り入れ禁止のツェルマットに入るには車でテッシュまで来たら、車をここにおいて列車に乗ることになります。駅前駐車場はとてつもなく広い。
いつもは人任せのスーツケースの移動も、一駅だけ乗る列車に自分で積んで下ろさなくちゃなりません。個人で旅行するとこれをいつも自分でやるんだなぁ、大変だ。
進行方向右(西)側の岩山が崩れていて、平行している道路とともに線路が大きく左に曲がっていました。ここはよくがけ崩れを起こすところだそうで、1995年に、それまでよりもずっと東側に線路と道路を移したのだそうです。


ラッキー!!!
ツェルマットに着いたら駅前通りを上半身黒毛、下半身白毛のヤギの行列が少年牧童について列を乱さず歩いていってました。宮崎駿のテレビアニメ“アルプスの少女ハイジ”のエンディングに出てくる絵と同じ。こんなヤギ実在するんだ! 道幅狭く電気自動車が意外にスピード出して通り過ぎます。もちろん環境第一義でしょうが、昔からの狭い道路をどうすることもできないからの窮余の一策が大あたりなんて、うがった見方もあながちうそでないのかも。




ホテルは裏口地下から

五つ星のホテル・モンセルヴァン(ザイラーホテル)は、冬は特にヨーロッパ各国の王侯貴族がスキーにおいで遊ばされたときのお宿になさるそうで、エッシネン湖からトレッキングシューズのまま、どたどたと正面入り口から入るのを拒絶されたらしく、地下からこっそり荷物のようにエレベーターで運ばれました。
エッシネン湖へのハイキングはトレッキングシューズは必要ない、街を歩くような靴で、と前日ガイドさんから聞かされたけれど、そんなに何種類も靴なんて持ってきてないよ。トレッキングシューズかヒールの靴だよ。もっと気楽な宿がよかったけれど、ここしか取れなかったと旅行社は言っていました。

だけど、聞いて!
シングル予約のわたくしは、ビジネスホテル以下の、ベッドの上は階段らしい斜め天井に手が届く。両手を広げると両壁につきそうな狭さで、腰板はかんなをかけていない生板。窓からの景色はいいけれど(写真)、マッターホルンの見える表側の部屋だというほかの人たちとあまりにも違いすぎます。ヨーロッパは階級社会。そうか。この部屋は、王子様お姫様の下男下女たちの部屋なんだ、きっと。ちゃんとひとり部屋用の代金を別に払ってあるのにぃ。この部屋に3泊はひどいよぉ。

夕食はメインダイニングで正装で・・・というので、結婚式披露宴用に持っていたワンピースの一張羅を着て、履き慣れないヒールの靴をはいて、まったく落ち着かない気分です。こういうのを好きでうれしい人もいるのでしょうけれど、私のような山猿は肩凝るばかり。それでも馬子にも衣装?! エレベーターホールでひとり待っているところへいらした小柄で上品なおばあさま、なにやら話しかけてくださるけれど、英語だと分かるだけで意味不明。アイムソーリー・・・謝りました。・・・帰ったら英会話頑張る・・・?頑張りたい、頑張らなければ・・・
頑張ろう・・・頑張れない・・・何段活用?