スイス・アルプス・ハイキング

9日目 7月18日(日) 晴れ

すれ違って、ボンジュール

エギーユ・デュ・ミディ展望台へ
今日で何度目か、ロープウェイを乗り継いで、3842mの展望台に一気に登ります。急な山肌というか岩にぶつかるのじゃ ないかという至近距離をぐんぐん登ります。

左写真に、ロッククライミングの人がいるのが分かるでしょうか。
山上の建物に着いたら、これまたいつものようにすごい人で、グループの人たちとはぐれてしまいました。焦って、窓のない迷路のような通路、多分、岩の中のトンネルを少し急いで歩くと息が苦しい。これが高山病かと焦るのはやめにしました。ゆっくり歩いて、ようやくみんなに追いついたら、エレベーターに乗る順番待ちをしていました。

富士山より高いところまでロープウェイで登って、その建物にはエレベータがついていて、もう少し上に上がりつつ裏側に行くというのです。日本だって、随分高いところまで道やロープウェイがつきましたが、山そのものを神聖視するのが一般的だから、ここまでやるか!?という感じがしないでもありません。
だけど、360度アルプスを眼下に見晴らすというのは、文句なしにすごい光景。足もとに見える谷間の町がシャモニー(一番上の写真)。2800メートルも下だなんてとても思えません。泊まっているホテルが肉眼で分かります。
すぐ横から望むモンブラン最高峰には、すぐに雲がかかります。登山者が列をなして、ピッケル持ってザイルつないで登っていくのがすごい。若くて元気なら私も登ってみたい。ん!?若くても元気でも無理。

上写真の左側の山並みは、昨日ラックブランまで歩いた赤い針峰群。ここからだとずっと下に見えます。こんなに低かったのか。シャモニーの谷を挟んで右側(写真では真ん中辺)に黒く見えるシャモニー針峰群と同じ高さくらいかと思って、昨日は見ていたけれど、歩くところは同じ2000メートルくらいでも、後ろに聳える峰々の高さが1000メートル以上の差があったのだ。
下からは分かりませんでしたが、そのシャモニー針峰群は2枚の屏風の間に雪が詰まっているように見えます。現役山頂氷河の姿でしょうか。どこかで、氷河に削られて峠になっているところを見たことがあります。モンブランもてっぺんの雪の下はこんな風なのだろうか。




すれ違って 「ボンジュール」 「こんにちは」

エギーユ・デュ・ミディから途中駅のプラン・ド・レギーユ(2308m)までロープウェイで下りて、そこから赤い登山電車の終点駅モンタンヴェール(1913m)まで最後のハイキング。今日もいい天気。入道雲がわきあがって、夏らしい雰囲気。短パン、タンクトップの人々とすれ違うたびに、ボンジュール、ボンジュール。日本語でどういうかと問われて、「こんにちは」と答え、互いに、「ボンジュール。」「こんにちは。」


昨日歩いたラックブランへの道がはっきり見える赤い針峰群を背景に、大岩の上でバンザ〜イ。ウーン、気持ちい〜い。ちょっとした広場のようになっているここで、お弁当を食べました。

空は青空、ハイキング日和。 シャモニー谷を挟んで前には赤い針峰群。 後ろにシャモニー針峰群。 氷河から解け出したと思われる小川がさらさら。 まるで庭園のように丸い石がごろごろした あたりには、濃いピンクのアルペンローザが満開。 草や岩の上で寝ころんでのんびりしたかったの ですが、もったいなくて目をつぶれない。 のんびりカメを自認している私としたことが、 ちょこちょこ動き回ってあっちを眺めこっちを眺め、 アルプスを堪能しました。

最後にひと踏ん張りの登りをおえると、平ぺったい石が、どこからか崩れ落ちたような感じでがらがらと続く場所を踏み越えて、写真のケルンを積んであるところに到着。とうとうハイキング最後の休憩となりました。シャモニーからも見えているとんがりドリュー(3754m)が目の前に。

トラのようなシマシマ模様が面白い氷河、メール・ド・グラスの横に、駅と山小屋があって、外の広いデッキがレストランになっています。真夏、アルプスはどこも山岳リゾートでの夏休み避暑なのでしょう。すごい人。
ここで一応ガイドさん案内の行程は終了。後は電車に乗ってシャモニーに帰るだけ。自由行動ということになりました。
氷河の中を歩けるというので、行ってみたかったのですが、小雨も降ってきたし、電車待ちの人々の列が半端じゃないし、ツアーのみなさん、このまま電車に乗って帰るというので、ひとりでは勇気がなくて諦めました。

赤い登山電車に乗ってシャモニーに帰る
電車の中で5〜6歳くらいの女の子が、通路をはさんで座った私の顔をじっと見ます。じっとじっと見ます。向かいに腰掛けたお母さんらしい女性が、私のほうを見ることなく、静かに、だけど厳しい口調でその女の子に話し続けます。まったく分からないフランス語。この子はきっと白髪の東洋人女性を始めて見たのでしょう。私にも覚えがあります。子どもにとって見かけの違う外国人は異様に思えるのです。じっと見るのをやめなさいと言うだけなら、あんなに長く注意する必要もないから、もしかしたら、日本人について何か言っていたのかもしれません。いつまでもじっと見るのをやめなかったなぁ。魔法使いのおばあさんにでも見えたのだろうか・・・

国鉄シャモニー駅のすぐ近くの終点駅で降りて、街をぶらぶら買い物をしながらホテルに帰りました。今夜は、関東三人グループさんから、スイス・アルプス・ハイキングの旅最後の夕食を、彼女たちの部屋で豪華パーティにしましょうとお招きいただいたので、きれいな色のロゼ・ワインや大きな生ハムとチーズ、果物などをスーパーで買い込んだのでした。



最後の晩餐!?

この最後の晩餐!?は楽しかった。
小さなロゼたった1本でも、楽しかったこの旅の思い出話に花が咲き、Aさんが、日本からわざわざ持ち運ばれた文庫本を取り出し、この部屋にいるみんなの星座を聞きだしては、星座に関する作者のうんちくを、読み上げてくださって、盛り上がったこと!今日も昨日もいい天気、いいハイキングで、すっかりいい気分のところへ、名前を聞いただけで、大喜びしてしまうような星座の人がいて、"さそり座の女〜♪〜″お腹を抱えて大笑い。
ロゼだ生ハムだとカッコつけたのに、みんなのスーツケースから、余った日本の食べ物が次々差し出されて、それがおかしいと、また大笑い。なんと、お湯を沸かしてインスタントラーメンを作り、あられの詰め合わせ、梅干も・・・やだぁ・・・と言いながらおいしいおいしい。
最後まで、この三人グループさんにはお世話になりました。心細いひとり参加、なにするものぞ、おかげさまで楽しいしあわせな旅でした。帰国後も、スイス同窓会をしましょう、どこかを歩きましょうと、誘っていただいて、ほぼ年に1回のペースで、国内旅行をしています。