トルコ 正味 2日半


(2) 2日目午後

≪教会跡・野外博物館≫

360ある教会跡のうち野外博物館として30ばかり公開されています。

柔らかい岩だから自然に崩れ、そのままほうっておけば形をとどめなくなると、落ちそうな天井を、岩をレンガ状に切ったもので補強してあります。それでもすでに天井が落ちて手前の部屋が半分になってしまっているのも大分あって、崩れるのが自然だから、数あるのを全部補修はできないし、する必要もない。文化遺産だから、いくつかは遺してみんなに見てもらうのがいいと、ガイドZiyaさんの弁。
以前は内部もフラッシュをたかなければ写真OKだったけれど、最近のカメラはきっと自動でたいてしまうことが多いのでしょう。禁止になったそうです。

りんごの教会、蛇の教会、バルバラ教会、どれだけの洞窟教会内部を見たか、写真を撮らなかったし覚えていませんが、造られた時期によって違うフレスコ画、素朴なキリスト像、聖母マリアの横に、ターバンを巻いたイスラムの王が描かれ、ともに仲よく暮らしていた時期もあった証しとか、いつかは崩壊する洞窟。いつまで見られるだろうかと時間との競争を感じます。



≪いろいろある奇岩≫
左のほうの岩山は、オルタヒサール城砦。カッパドキアで一番高く、どこからでもよく見えます。右はまるで砂丘が風で波打ったように見えますが、岩です。上の台地がまっ平らなのが浸食されたことが分かります。
谷といっても水は見えないし、ところどころに潅木が見える程度で、半砂漠かと思ったら、このあたりはブドウの産地で、他にも果樹が多く、日本にも乾燥果実が輸出されているとか。
世界一の生産量を誇るのはいちじくだそうで、赤い谷の横の小高い丘で、ガイドさんおごりの赤ブドウ酒を飲みながら・・・おいしい!・・・店の人が売りに来たものはほとんど、日本の神社仏閣の参道などでよく見かける乾燥果実そのもの。
そうか、ブドウにしても、乾燥地が適しているのだと、やっと谷のあちこちの潅木に見えていた木々が、行儀よく並んだブドウの果樹園だと気づいたのでした。
このときはまだ、えぇっと驚く連絡が日本から入っているとは知らず、の〜んびり “ゆったりトルコ” の旅を楽しんでいたのです。



≪チャウシン≫ ---50年前まで人が住んでいた今は静かな廃村---

5世紀頃に作られた古い村で、現在、住人はすぐ近くの平地に移って暮らしているそうです。洞窟の家といっても、入り口や門のあたりは、付近の岩を切って造ったような、大きな焼いていないレンガ(ブロック状の石)を積み上げてあります。

右の写真は、天井が薄くなって落ちた住居の表側の部屋。天井や壁だったはずの石がごろごろ落ちています。
今のトルコの人たちの村だったから、モスクがあります。素朴で質素だけれど、つくりはイスタンブールの壮麗壮大なブルーモスクと基本的に同じ。
聖地メッカの方角を示すミフラープが少しくぼませてあって、説教師が途中まで上って話す階段もあります。

右手前の柱に何かの花が描いてありました。
トルコの花は?と聞かれて、以前新聞の日曜版の世界の花特集でチューリップはトルコ原産と読んだことを思い出して、答えられたのが得意で鼻高々。尤もトルコに関して知っていたのは、世界で最初にぶどう酒を作ったということくらいで、他は何も知らないのですが。

近くの今にもつぶれそうな教会跡や、今も人が住んでいる民家に上げてもらって家の中を見せてもらいました。床も壁も天井も全部岩。白く塗ってあります。荒く削っただけででこぼこの床には当然、椅子にも絨毯がのせてあり、壁にもかけて、赤いのが多いから、暖かそうな部屋です。トルコの民族楽器、マンドリンを大きくしたようなサズという楽器がおいてあって、Ziyaさんが懐かしいと言いながら少し弾いてくれました。高校のときに熱心にやっていたそうで、またやるつもりだと言っていました。
応対してくれたのは、10代の少年でした。地方では今も女性はブルカを着て人に顔を見せないこともあるからでしょうか。

今回は “ゆったりトルコ” が売りのツアーだから時間はたっぷり。Ziyaさんも歩いたことがないという(ホント?)この道の奥の方まで歩いたり、村の入り口の喫茶店前にある大きな胡桃の木の下で、茶(チャイ)を飲んだり。他に人がいなくて、本当にゆったりした気持ちで、トルコだ、カッパドキアだ、と感じることができました。とても甘いケーキも、かぼちゃの種も、この景色この空気だからこそ、きっと。とてもおいしい。



≪洞窟ホテル アタマン≫

ギョレメ渓谷の中にある洞窟ホテル、アタマン。まわりをすっかり巨大きのこ岩に囲まれて、自分がそんな岩の中で寝るなんて不思議な気持ち。うれしくて興奮してホテル内外を歩き回りました。
自室 ロビー 廊下

部屋や廊下の窓から見る景色はまさにカッパドキア。映画の画面の中に入り込んだ気分。
この景色を反対側から見たのが、前ページ(午前)の写真。目の前の台地の上からこちらを見ていたのです。その時は気づかなかったけれど。
ホテルの裏の急な坂道で、ロバに乗った少年と会いました。仕事やお手伝いではなさそう。何しているのかな。