


南米にはどんな鳥がいるのか、ほとんど知らずに出かけました。国によって、地域によって当然種類も違うでしょう。今回、ブラジル、アルゼンチン、ペルーの3カ国で、大河河口の都市、ジャングル、砂漠地帯、山岳地帯を訪ね、鳴き声は聞いても、姿を見たのはあまりありません。
写真に撮れたのはホントに少ない。ところが観光客が目にした少しの鳥の名前が分からないのです。ペルーで遺跡発掘調査に40年間関わってきた日本人文化人類学者が、ペルーに動植物の図鑑はない、と断じています。まさかと思いましたが、たくさんの動物、鳥、蝶が見られるイグアスの滝の、大きくて立派なみやげもの屋に、本はイグアス関連写真集が片隅にたった2種類。それには鳥が11種、蝶がなんとたった1種載っているだけ。空港の本屋には、簡単な写真集さえありませんでした。あれば売れると思うのですが・・・
南米の鳥といえばなんと言ってもコンドルでしょう。アマゾンの空高く飛ぶ鳥の群れをコンドルかと聞いた人に、ガイドさんはカラスと言います。日本のカラスより大きく見えましたが・・・
残念ながら、左の羽を広げたコンドルは、ナスカの地上絵近くの空港裏で飼われている飛べないコンドルです。この演技をすればえさをもらえるのでしょう。回って見せるのじゃないかと思うほど、堂に入った羽広げの演技。誇り高き孤高の鳥のはずでしょうに。
トルコで、日本語ぺらぺら、なんでも深くよく知っていて、知識教養並びないように見えるガイドさんが、日本人はすぐに鳥や植物の名前を聞くが、自分は知らないから聞かないでくれといったのが印象的でした。トルコや南米に限らず世界の多くの国では、日本ほど一般に関心がないのかもしれないと思いましたが、どうなのでしょう。

最初の観光地ブラジル、リオ・デ・ジャネイロのコルコバードの丘へ登る登山電車乗り場で見た、私にとって最初の南米の鳥は、ホーリニアという名前だとガイドさんに教えてもらいました。ムクドリくらいの大きさで、そのときに2羽見ましたが、他では見ませんでした。

イグアスの滝の最奥部、悪魔ののど笛への遊歩道入り口まで行く観光用トロッコ列車の始発駅に、左の色かたち大きさもキセキレイに似た?小鳥がいました。人を恐れる様子もなく、足を左右交互に運んで歩く姿がかわいい。
野生のブラジル国鳥オニオオハシをその駅から見ました。遠くのジャングルの木の上を行ったり来たりしているところを。肉眼ではカラスのようでしたが、見つけた人が双眼鏡を貸してくださったので、色もかたちも、大きなくちばしも、よく分かりました。残念ながらそれを撮ることはできなくて、右はみやげもの屋の裏で飼われていたオニオオハシです。この名前は、帰国後しばらくして同行のSaさんからお電話をいただいたNHKの番組で知りました。なんとタイミングのいい!イグアスの滝周辺の特集でした。滝の下に飛び込んでいくのはオオムジアマツバメというのだとも分かりました。ツバメはすばやくてとても撮れませんでしたが。
このみやげもの屋ではオニオオハシをかたどった自然石の小さい飾りを買いました。珍しいと大変好評でした。<みやげもののページはこちら>
イグアスの滝では、他に鳥は見ませんでしたが、珍しい鳥の巣がホテルの前の木にいっぱいぶら下がっていました。30〜50センチも長さのあるかごのようなものが、まるでその木の実のようにブラブラ。今はいない渡り鳥で、グォッシュという鳥の巣だと教えてもらいました。数年前に友人からもらった“鳥の巣”の本に載っていたのを見た時にはとても信じられませんでしたが、こともなげにぶら下がる実物を目の前にすると、別に不思議でもなんでもないように感じられて、何から何まで日本と違う外国にいるという実感がわきます。その本には、そっくりの巣を作るツリスドリ(吊り巣鳥?)という2種類の鳥が描かれています。
ナスカの地上絵近くの、砂漠といえば思い浮かぶ典型的な砂漠の中のオアシスで昼食をとったときに、すぐそばの柵に止まっていたのはスズメに見えました。チュチュチュと鳴く様子もスズメのようでした。ところが背を向けていた1羽がこちらを向いて驚きました。背中の模様はそっくりだけど、顔が全然違います。ちょっと怖い隈取り。それでもスズメの仲間なのかなぁ。
後日、やはりスズメの仲間だと分かりました。イエスズメといって、日本にいるほっぺに黒い丸のあるほうが世界的には少なく、むしろこの写真のスズメのほうが広く分布しているそうです。 |
オアシスの池の中に、ヤシの木のような熱帯系の木があって、葉?枝?が入り組んだところに、よく目を凝らさないと分からないハトくらいの大きさの鳥がいました。全体は灰色に見えますが、顔やしっぽや羽の先がブルーで、とてもきれい。彫像のようにじっとしていましたが、いつの間にかいなくなっていました。さっきのスズメに似た鳥にしても、駅で見かけたキセキレイ?にしても、人間のいるところは却って安全なのでしょう。
クスコからマチュピチュへの途中、ウルバンバ渓谷の、これもお昼のレストラン。中庭のようなところで、織物をしている女性3人と子供がいるのにチョコチョコ歩いてえさを探す鳥がいました。ホオジロに似ています。頭ボサボサはカシラダカにそっくりです。

チチカカ湖に浮かぶ、トトラという葦でできた浮島のうえを、黒っぽい鳥が歩き回っていました。よく見ると、くちばしの上が赤い。これなら分かります。バンの仲間。カモのような水鳥で、西宮の我が家の近くにも、葦とガマにほとんど埋め尽くされた小さい池があって、冬のあいだ、つがいらしい2羽を見ることがあります。おやっ、今日はお連れは? なんだか懐かしい。
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